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畏れ入谷の彼女の柘榴

畏れ入谷の彼女の柘榴

畏れ入谷の彼女の柘榴

作家
舞城王太郎
出版社
講談社
発売日
2021-10-20
ISBN
9784065251478
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畏れ入谷の彼女の柘榴 / 感想・レビュー

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ででんでん

読みやすい会話文をするする手繰っているうちに、えっ、いつの間にか周りは真っ暗闇の底の底。日常と地続きの溝みたいな暗いところ。振り返ると、毎日一緒にいた妻の、子の、皮がするっと一枚めくれてて、違う生きものになっているような…表題作。いくら言葉を尽くしても、やりとりが捩れて押さえ込まれていくような恐怖。最後に希望も。全く畏れ入谷の鬼子母神。あとの2作もやっぱり大好きなマイジョー。特に3作目の終盤、お母さんが言う「自分が他人様の負担になってないって思ってるんやったら単なるアホや」に締めくくられる言葉がよかった。

2022/01/06

よこたん

“『正しいのに間違っている』ってことがある。それは、あるのだ。言葉の意味はわからない。でも事実、『正しいのに間違っている』はあるのだ。” 林檎、檸檬に続く柘榴が出ていたとは知らず、丸4年ぶり。いまだに舞王城太郎という覚え間違いから抜け出せずにいる。たたみかけるような会話文のページ数に圧倒される。掛け合い漫才のようでありつつ微妙に噛み合わない居心地の悪さったら。わが子の指からビーム、凄い猿である角田チーズさんといたずら好きなカニ、心残りが訪れる家。なんじゃそりゃ?なのに、いつの間にか順応してる自分が怖し。

2023/04/17

たぬ

☆4 幼児の指先から出たビームで孕む。すごい世界だ。人間だけじゃなく公園の猫も庭の植栽も。しかし主人公の心が広いなあ。子供に罪はないけど妻がやったことは相当ひどいのに。ほかの2編もトリッキーな設定で相変わらずのハイテンション。単行本書き下ろしの3編目は私も大いに考えてしまった。

2022/05/04

mincharos

「私はあなたの瞳の林檎」「されど私の可愛い檸檬」と来てこれ。果実シリーズ?今作も面白かったー!!読んでるだけで色々と考えさせられる感じがすごく癖になる。表題作の訳わからん妻にはイライラさせられたし、「裏山の凄い猿」の「そう言えば俺、同級生に絶対結婚できんって言われたわ、今日」から始まる息子とその母親の会話がもう面白い。そして最後の「うちの玄関に座るため息」。不思議な家で育った兄弟とその長男の彼女(男)との会話がもう深くて、、、「後悔しないように生きる」VS「後悔したってそんなの大したことない」LOVE♡

2021/12/14

ましゃ

生命、愛、人生の選択について読者に問いかけてくる、不条理で愛しい人間たちを描いた短編集。前作の林檎、檸檬と比べて本書はとにかく難しい。ファンタジーだったり、哲学や文学っぽかったり、あるいはただ単に頭のネジが一本外れた人間達の話だったりと捉えようはいくらでもある。だって、もしかしたらネジが外れているのはこの本を読んでいる我々読者の方かもしれないでしょ?そう、俺達のマイジョーは答えなんて出してくれない。読者も一緒に考えろってこと。思考停止してる時間なんてない。やはり俺達のマイジョーは、唯一無二にして無敵です。

2022/02/17

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