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ほんのこども

ほんのこども

ほんのこども

作家
町屋良平
出版社
講談社
発売日
2021-11-10
ISBN
9784065260364
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ほんのこども / 感想・レビュー

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旅するランナー

「人はだれでも犯罪者として生まれ無垢を演じる刑罰により日々を生きているのだ」 露悪的な私小説に擬態しつつ、ヤクザと図書館、母殺し・愛人殺し、大量殺戮・ホロコースト収容所、擬人化された小説と作者の対話が混濁の中に語られる。ラース・フォン・トリアー監督の映画の如く、見てはいけないものを見てしまった後悔と、とんでもないものを見た興奮が同居する。また、フォアキン・フェニックスのジョーガーの影響力と酷似し、嫌悪感の中で鬱に振られ、己の心の闇が炙り出される。この本は禁書と革新の書の紙一重、その先に悠々と立ちはだかる。

2022/03/05

starbro

町屋 良平は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の新境地でしょか、私小説的、純文学、この路線を行くと売れない芥川賞作家の烙印を押されます。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358051

2021/12/03

kei302

読メユーザーの町屋さんの新作。「私小説」ふうにかかれたフィクション。たぶん。音楽なら、複数のモチーフをどうやって組み合わせ、展開させるかを試みた感じの作品に仕上がっている。これまでとは雰囲気が違う。密度の濃さが特に。 随所に、小説家:町屋良平の過去(!)が盛り込まれ、興味深く読んだ。

2021/12/27

路地

あべくんに読書のきっかけを与えた過去の筆者、それを俯瞰する現在の筆者の三者が「かれ」「わたし」で書かれ、混乱を誘う。すでにこの世を去ったあべくんの文体を筆者が取り込んでいく様を表現しているのか。読める箇所があったかと思えば、すぐに難解な表現が追っかけてくるようで、時間があればもっと読み込んでみたくなる私小説だ。

2022/10/26

ヘラジカ

久々に自らの文学に対する視野を拡張されるような作品に出会った。小説観というか、読むことや書くことに対する既成概念をぐちゃぐちゃにされる。物事や時限を区分するための網目状の境界線が消失した四次元空間、とでも言えばいいだろうか。他者と自我、被虐と加虐などの位相を超越した圧倒的文章世界。なんとも抽象的な言葉でしか表現できないものすごい小説。適当に日本文学でも読むかと、何の気なしに手に取ったので交通事故のような衝撃だった。唯一手元にあって読了済みのアメリーの著作『罪と罰の彼岸』を読み直して再読すべきかもしれない。

2021/11/11

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