爆弾
「爆弾」のおすすめレビュー
爆弾魔が人間の本性に火をつける! 内に秘めた悪意を炙り出すノンストップ・ミステリー『爆弾』
『爆弾』(呉勝浩/講談社)
果たして、「自分の中に“爆弾魔”はいない」と言い切れるだろうか。内に潜んだ本性を、スズキタゴサクがずるりと引きずり出してくる。
前々作『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞と第73回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞し、『スワン』と前作『おれたちの歌をうたえ』が直木三十五賞候補にノミネートされた、小説家・呉勝浩さん。その新作『爆弾』(講談社)で描かれるのは、冴えない中年男スズキタゴサクが引き起こす無差別爆破テロだ。
ある夜、傷害事件でスズキタゴサクと名乗る男が捕まった。間抜けな顔つき、金のなさそうな風体、卑屈な物言い。酔っ払いが暴れただけのありふれた事件だと、その場にいた誰もが考えていた。だが、取り調べのさなか、スズキは「十時に秋葉原で爆発がある」と予言。当初は警察も本気にしていなかったが、スズキの言葉どおりに爆発が発生したため、空気は一変する。さらに、スズキは「ここから三度、次は一時間後に爆発します」と新たな予言を重ね、クイズ形式で爆弾のありかを示唆し、警察に頭脳戦を挑んでくる。この男は一体何者なのか。…
2022/6/17
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『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社)
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【著者プロフィール】 凪良ゆう●京都市在住。2007年に初著書が刊行されデビュー。BLジャンルでの代表作に21年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど多数。17年に『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)を刊行し高い支持を得る。19年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で本…
2023/4/12
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2023/4/12
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爆弾 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
中盤まではスズキタゴサクがのらりくらりと問答を繰り返していたが、類家が主導権を握るあたりからは俄然スピードアップする。それに伴って臨場感も増し、同時にその先の展開も読めなくなってくる。このあたりからが、呉勝浩の本領発揮ということなのだろう。類家とスズキの頭脳合戦はついていくのがやっと。とても先を見通す能力は私にはない。終盤でも、そのように展開するのかと、ただただ茫然と見送るばかり。等々力や沙良の役割も実に周到に考えられていたことがわかる。呉勝浩のハードボイルドとサスペンスに脱帽。
2023/10/28
starbro
呉 勝浩は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。爆弾の導火線を蛇行しながら火花が進んでいくようなノンストップ・ミステリ、一気読みしました。最期が少し失速、モヤモヤ感がやや残念でした。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000363042
2022/05/24
パトラッシュ
名前も見た目も徹底的に冴えない男スズキタゴサクが、実は究極の劇場型犯罪者という落差。しかも爆弾による連続大量殺傷事件を起こしながら、何より怪物じみた頭脳明晰さで取調官を翻弄するスズキ自身が強烈な爆弾であり、事件を防げず追い詰められた警官たちが次第に壊れていく姿が凄まじい。やがて警察の恥部として切り捨てられた男との関連を匂わせたところから物語が一気に深くなり、敗者復活戦の許されない日本に対する破滅した者たちの容赦ない復讐が浮かび上がる。従来にない名探偵ならぬ名犯人を創造した一点で、ミステリ史上に残るだろう。
2022/06/10
Kanonlicht
爆弾魔の出題する謎を解かないと仕掛けられた爆弾が爆発する。どこかで見たような設定だけれど、この作品はそこに、人は結局自分自身の欲求に従って行動する生き物という命題をつきつける。被疑者の取り調べをする刑事に、現場で奔走する面々も加わって、物語はしだいに群像劇の様相を見せるも、どの人物もただ正義のためというよりは、自分がそうしたいという一心で行動する。警察側の心理が細かく描かれるのに対し、犯人側の動機やバックボーンがあいまいなままだったのが惜しい。
2022/06/05
青乃108号
都内連続爆破事件に関する話。犯人と思われる人物は早くから身柄確保されており、彼の言うところの霊感による爆破予告に翻弄される捜査陣。迫る爆破時間に見つからない爆弾。面白そうなお膳立ては揃っているのに何故だか緊迫感が全く伝わらず。ほとんどの人物が「もう、いいや」と人生投げた感じで登場してくるので俺にとっては好ましい小説とは言えず。全く入り込めなかったので得る物は何もなかった残念な本だった。
2022/10/26
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