現代思想入門 (講談社現代新書)
「現代思想入門 (講談社現代新書)」のおすすめレビュー
昼のカツカレー、欲望に任せて食べるか、ダイエットを取るか? 単純な二択で考える思考をやめると生きやすくなる
『現代思想入門(講談社現代新書)』(千葉雅也/講談社)
生きづらいといわれる現代社会において、少なくない人がなんとなく不安や窮屈さを常に感じているかもしれない。その原因は何なのか、どう解釈して対処すれば良いかがわかれば、生きづらさが少しは軽減されるかもしれない。
「新書大賞2023」大賞に選ばれた『現代思想入門(講談社現代新書)』(千葉雅也/講談社)は、今こそ現代思想の学びを勧める哲学入門書。本書によると、広い意味でコンプライアンス的な意識をもつようになった現代人や、それらが形成する現代社会は、かえって「何かと文句を言われないようにビクビクする生き方になってきた」と述べている。そんな生きづらい現代社会において、現代思想を学べば、
・複雑なことを単純化しないで考えられるようになる ・単純化できない現実の難しさを、以前より「高い解像度」で捉えられるようになる
と説明している。本書が述べているように「複雑なことを単純化できるのが知性なのでは?」と疑問に思う読者に向けては、
・コンプライアンス的な意識が高まり、いっそうの秩序化、クリーン化に向かっている社会で、…
2023/12/18
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現代思想入門 (講談社現代新書) / 感想・レビュー
trazom
売れている評判の一冊として手に取ったが、私はこういう本が苦手だ。確かに、デリダ、ドゥルーズ、ラカンなど読むのに難渋する思想を平易に解説してくれるのは有り難いが、「…と覚えてください」「…と押さえておけばいい」というような紋切り型の理解を要求するのは、ポスト構造主義の対極にある姿勢ではないのかと感じる。原著を読みこなす手引きとしてではなく、結論を単純化するアンチョコに使われるとすると弊害は大きいかもしれない。尤も、本書が、現代思想への興味の扉を開く真の意味での「入門」であるのなら、その価値はあると思うが…。
2022/05/30
けんとまん1007
二項対立には辟易としているし、その危険性も感じていたので、いいタイミングで出合えた。自分自身のものの考え方・感じ方を、整理する方向性がみえたような思いがする。
2022/10/16
おせきはん
フランス現代思想の大枠を何となくながらつかめました。読んでいるうちに誰の思想かわからなくなってしまうこともあったものの、ラカンについてとてもわかりやすく解説されていたのが、ありがたかったです。
2022/08/05
アキ
そう言えば浅田彰の「構造と力」流行ってましたね。構造主義もポスト構造主義も知りませんでした。ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーの3人を軸に現代思想の流れを解説してます。デリダは「概念の脱構築」、ドゥルーズは「存在の脱構築」、フーコーは「社会の脱構築」だそうです。確かに現代はコロナ禍で規律訓練も生政治も鮮明になっているようです。人間はノイズの多い生き物であり「新たなる古代人」を意識して悩まずに生きていきたいものです。デリダが死んだ2004年に、フランス哲学の黄金時代は終わったのでしょう。
2022/12/16
venturingbeyond
評判の通りの良書。「脱構築」をキーワードに、すでに20世紀後半の思想史上にしっかりとした位置を占めている「(フランス)現代思想」について、その中心的論者であるデリダ、ドゥルーズ、フーコーの3人の学説に焦点を当て、難解・晦渋とされる全体像から大胆にその中核的部分を切り出し、その特徴や歴史的意義を平易に叙述する前半部は、本当に読みやすい。後半部で、前史と現代の「ポスト現代思想」のつながりの中にマッピングする手際もすばらしく、一般読者向けの入門書というジャンルに望まれるある種の理想を体現した一冊。
2022/07/05
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