汝、星のごとく
「汝、星のごとく」のおすすめレビュー
ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、凪良ゆう『汝、星のごとく』
『汝、星のごとく』
●あらすじ● 瀬戸内の島で育った高校生の暁海。父は外に恋人がおり、それを島のみんなが知っている。母の孤独に巻き込まれ世間の目に苦しんでいたある日、アルコールの匂いのする転校生・櫂と出会う。自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂は暁海と同じように心に孤独と欠落を抱え、二人は自然と惹かれ合っていく。成長するにつれすれ違っていく二人だが、「自ら」を生きるために彼らが下す決断に胸を打たれる。
なぎら・ゆう●滋賀県生まれ、京都市在住。2006年にBL作品にてデビューし、代表作に21年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど。17年刊行の『神さまのビオトープ』を皮切りに、非BL作品の執筆もはじめ、20年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。翌年、『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。本書は約2年ぶりの長編となる。
凪良ゆう講談社 1760円(税込) 写真=首藤幹夫
編集部寸評
誰もが二人をそっと見守ることできるから 凪良ゆうは、異質な二人をまっすぐ描く。「助け合って生きていこうと、ぼくたちは約束したじ…
2022/11/5
全文を読むまともな人間なんてものは幻想だ―― 感情を揺さぶられる一冊『汝、星のごとく』をマンガで紹介!
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『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社)
2022年8月4日、凪良ゆう氏の小説『汝、星のごとく』(講談社)が発売。注目作家の最新作ということで、ファンをはじめ読書家から大きな注目を集めており、ネット上には早くもさまざまな反響が寄せられているようだ。
凪良氏といえば、昨年『美しい彼』(徳間書店)がテレビドラマ化、今年『流浪の月』(東京創元社)が実写映画化するなど、今もっとも勢いに乗っている作家の一人。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた彼女は今回、約2年ぶりの長編となる最新作『汝、星のごとく』で、“ひとつではない”愛の物語を紡いでいく。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして少しずつ成長する。――まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。正しさに縛られ、愛に呪われ、その先には一体何があるのだろうか…。同作は、自分が生きたいと願う人生を選び続ける全ての人に向けた一冊だ。
購入者か…
2022/8/17
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本屋で花火を見上げよう!『汝、星のごとく』花火大会が全国書店で開催中
『汝、星のごとく』で2度目となる本屋大賞を受賞した作家・凪良ゆう先生。この夏、講談社とともに「『汝、星のごとく』花火大会」と題して、「スマホで打ち上げよう。本屋であなただけの花火」と称したデジタル花火大会を2023年9月13日(水)まで開催している。
2023年本屋大賞受賞時の凪良ゆう先生 【画像提供=株式会社講談社】
本イベントは、書店の魅力をあらためて伝えたい、書店とそこに集う読者の皆様に恩返しをしたい、との思いから、凪良ゆう先生が講談社とともに「感謝」と「愛」を込めて企画したもの。イベントで使用される花火は、本屋大賞受賞作である『汝、星のごとく』作中でも印象的に描かれた、愛媛県今治市の夏祭り「おんまく」の花火をモチーフにしている。より多くの読者が書店で新たな本と出会うきっかけとなることを祈って、物語を愛するすべての人に捧げる、今しか見られない花火を全国の書店で打ち上げる。
8月19日には、六本木 蔦屋書店の会場に凪良ゆう先生が登壇しイベントの開催を宣言。「本と出会う屋台」が出店された店内では「プロジェクションマッピング花火」が投影され、盛り上が…
2023/8/28
全文を読む【2023年本屋大賞発表会レポート】自分の人生をつかもうとあがくふたり…凪良ゆう『汝、星のごとく』が大賞作に
2023年4月12日、全国書店員たちが“いちばん売りたい本”を選ぶ「2023年本屋大賞」発表会が行われ、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』(講談社)が大賞を受賞した。同賞は新刊書店に勤務するすべての書店員が投票資格を有し、その投票結果のみで大賞が決定する文学賞で、今年は記念すべき20回目。4年ぶりに入場制限なしで行われた今年の本屋大賞発表会では、全国から駆けつけた書店員、作家、出版関係者が集い、談笑し合う光景が復活。本を愛し、本に関わる人たちの熱気あふれる発表会の模様をレポートする。
(取材・文=アサトーミナミ)
【大賞作】『汝、星のごとく』——自分の人生をつかもうとあがくふたりの物語
『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社)
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』は、自然豊かな瀬戸内の島で育った高校生・暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され、島へと転校してきた櫂の15年間にも及ぶ物語だ。17歳だった少年少女は惹かれ合い、すれ違い、そして、成長していく。途方もない痛みを抱えながら、それでも自分の人生をつかもうとあがくふたり。この物語で丁寧に描き出されていく…
2023/4/15
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汝、星のごとく / 感想・レビュー
ヴェネツィア
櫂と暁海の語りが交互に繰り返される構成。それはある時は互いに寄り添ったり、また時に激しく共鳴したりもする。そして、大きな齟齬が継続する時間を持ったりもする。二人の感情のあり方、そしてその行方の定めなさもまた人の摂理であるのかもしれない。物語の主な舞台となるのは瀬戸内の島。その閉塞社会の中から出てゆく櫂。一方はそこからなかなか脱却できない暁海。櫂の生い立ちと小説家への道程は凪良自身の体験が色濃く反映していそうである。エピローグは予想される範疇にあるのだが、それでも読者である我々は切なくも深い感慨に包まれる。
2024/01/17
starbro
凪良 ゆう、4作目です。本作は、青春恋愛譚の秀作、本屋大賞にまたノミネートされそうです。北原先生は、本当に良い人でした。青埜 櫂の遺作、作中作「汝、星のごとく」も読んでみたい。今年のBEST20候補作品です。 https://news.kodansha.co.jp/9378
2022/09/07
さてさて
『瀬戸内の小さな島』で17歳の青春をともに生きた主人公の櫂と暁海が、さまざまな苦悩の中に、それぞれの人生を生きていく姿が描かれるこの作品。瀬戸内の美しい自然を鮮やかに写し取っていく凪良さんの見事な描写の数々にすっかり魅了されるこの作品。巧みな視点の切り替えと、同じシーンを重ねる構成によって、主人公二人の心の機微を余すことなく読者に伝えてくれるこの作品。凪良さんらしく、極めて読みやすい物語の中に、佐藤春夫さんの「夕づつを見て」という詩からとったという書名に込められた思いを味わい深く感じる絶品だと思いました。
2022/08/06
パトラッシュ
社会問題化しているヤングケアラーについて、生活能力がなく子にたかって人生をダメにしてしまう毒親をなぜ見放せないのか苛立たしく感じる。櫂も暁海も親を捨てる決断を下せれば成功できたのに、最後まで自らの間違いを理解できず失敗した生き方を選んでしまった。惨めで愚かな若者の生涯といえばそれまでだが、親は無条件で優しく支えねばという強迫観念に囚われる人が増えているのではないか。親である前に人であり、人として尊敬できるか否かこそ重要なのだ。安倍元首相暗殺犯に対して、子供なら最後まで母親を支えろと言える人がいるだろうか。
2022/09/13
茜
読んでいる最中、私の頭の中では何度も「呪縛」という言葉が浮かび上がった。北原先生と瞳子さんの達観ぶりが気持ち良い。自分の人生を生きるという事は自分で自分に責任を持つという事だと。誰かが責任を取ってくれる人生なんてものは、どこにも存在しないはずだ。帯の文句が頭をよぎる。正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。そうだ、それでもわたしたちは生きていかなければいけないのだ。読後に色々と考えさせられました。初めて読む作家さんでしたが他の作品も読みたいなと思いました。
2022/08/27
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