都合のいい果て(1) (モーニング KC)
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「都合のいい果て(1) (モーニング KC)」のおすすめレビュー
モラハラ夫に苦しむかたわら、自分は女性用風俗へ――漫画『都合のいい果て』があぶりだす夫婦のリアル
『都合のいい果て』(山田佳奈、志水アキ:著/講談社)
夫婦のコミュニケーション不足がもたらす悲劇を、まざまざと描写すればこのような展開になるだろうと感じた。それほど登場人物たちの感情が生々しく、リアルなのだ。
『都合のいい果て』(山田佳奈、志水アキ:著/講談社)の主人公は夫の不倫を知ったショックから女性用風俗を利用するようになり、自分の相手をした男性を好きになってしまう主婦・透子(とうこ)。
近年、「女性用風俗」を扱う漫画が増えてきたように感じるが、本作における女性用風俗の立ち位置は、透子という人物の個性をより際立てるひとつの要素であり、恐らく透子の人生を変えるであろう人物との出会いの場でもある。そのため2巻後半になると、女性用風俗という言葉はあまり出てこなくなり、代わりに透子、そして彼女が恋した青年・祥示の内面がクローズアップされていく。ふたりがなぜ今の境遇に立っているのかが明らかになるのだ。
本作を読み進めていけば、モラハラ不倫夫や女性用風俗など、人目をひく題材を扱った作品ではあるが、「センセーショナル」という言葉だけで表現することは誰もでき…
2023/4/19
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都合のいい果て(1) (モーニング KC) / 感想・レビュー
歩月るな
小さな魔法の物語。意外にも伊藤氏の帯推薦文、感覚としては「日常系」として、今日もどこかで繰り返されている一風景のスケッチとして、その綾を見つめる事に一種の喜びを感じることもまた、ひとつの「愛」なんだろう。そこにあるのは、人間のしょうもなさすら包み込む、ちぐはぐな世界の器の大きさかもしれない。ところで祥示、突っ立ってだけで取り分同じ問題を、直接危害を加えてないからまだこっち側でセーフ、みたいな心理的ハードルを絶妙に下げてる感じで捉えるのもあるけれども、ここでノリノリであっても印象はそう変わらないかもしれん。
2022/09/24
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