ビブリオフィリアの乙女たち (星海社FICTIONS)
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ビブリオフィリアの乙女たち (星海社FICTIONS) / 感想・レビュー
よっち
本を読んだ誰かの記憶を読み取る図書部員・文詠。あの日、図書館で絵本に遺された黒いコートの男と撃ち殺される自分を幻視した不可解な誰かの記憶に遭遇する学園ビブリオミステリ。日本童話文学から次々と現れる黒いコートの男の正体、それを幻視した読者は誰なのか。森鴎外『舞姫』と宮沢賢治『春と修羅』の解読から、識字障害の幼馴染・花奏とともに悲劇の真相へと迫る展開で、エピソードが繋がる中で見えてくる様々な人間模様、自己肯定感が低く花奏の思いに気づけない文詠はなかなかもどかしかったですけど、二人で挑む謎解きを堪能できました。
2023/02/05
半熟タマゴ
文学作品から紐解くビブリオ学園ミステリー。『舞姫』『ごんぎつね』など作品の解説や解釈が興味深くて面白かった!本を読むとそれを読んだ人の記憶を読み取る文詠と本が読めないけれど物語が好きな花奏の関係も良かったです。二人の物語をもっと読んでみたいので続きもでますように。前作と比べると百合描写が控えめなのでミステリー、日本文学好きな方にも広く読まれて欲しい作品ですね。特に宮沢賢治の作品が好きな方は是非。『春と修羅』は物語の大きな鍵を握るのでいつかちゃんと読んでみたい。
2022/10/16
ほたる
森鷗外『舞姫』から宮沢賢治へと繋がるビブリオミステリ。豊太郎とエリスということで拗れそうな感じはしていたが、やっぱりそういう方向へ持っていくのかと。推理を組み立てていく純粋な部分も良かったが、そこにさらにサイコメトリーの能力が加わることで、より深く推理することができるようになる展開も面白かった。隠された真相に辿り着くためにしっかりと考えを繋ぎ合わせていく、ミステリを楽しむことができる一冊。
2022/10/23
あつべよしき
文字が読めない聡い少女と、本の記憶が読めるが鈍感な少女の百合小説。女の部分、暗めのところをやや濃く書いているのが印象強い。宮沢賢治に絡めた事件を解決する過程での作品の解釈が二転三転するのが面白かった。作品そのものより作品の解釈の仕方が力を持つのが、文学探偵ものとしては新鮮に感じて好き。文学だけでなく、世界や人生の解釈も様々なんだな。
2022/12/16
さな
百合を期待したのと表紙が可愛らしくて購入。思ったよりも暗いミステリーでびっくりした。作風は文学作品が絡んだ特殊設定ミステリ×百合という感じ。百合成分が少なくてやや残念。でも、文学作品の解説が好き。特に「ごんぎつね」の解説がすごく分かりやすくて、今までのどの解説よりしっくりきて素晴らしかった。話としては、思ったよりも生々しくて重い。終盤は読むのがきつくなってきたほど。最後の犯人への説得がなんとなく呆気ないなあ、と思った。キャラクターはとても個性的でよかったので、続刊を出すなら購入したいと思う。
2022/10/29
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