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言語ゲームの練習問題 (講談社現代新書)

言語ゲームの練習問題 (講談社現代新書)

言語ゲームの練習問題 (講談社現代新書)

作家
橋爪大三郎
出版社
講談社
発売日
2022-12-15
ISBN
9784065302491
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言語ゲームの練習問題 (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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trazom

若い頃、ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」の考え方に初めて出会った時の戸惑いを思い出す。直示的定義、ルール、私的言語、ふるまいの一致などの用語を、概念として理解するのに難渋しただけに、練習問題という本書のアプローチは非常にユニークで有難い。著者が指摘しているように、本書は「ヴィトゲンシュタインの解説書」ではなく、正に、「活動の体系」である言語ゲームの考え方を通して行う社会学的演習なのかもしれない。最近の生成系AI(ChatGPT)の登場を見ながら、ふとヴィトゲンシュタインに思いを馳せる今日この頃である。

2023/05/23

へくとぱすかる

社会学者の著者が、分析哲学を自分で基本からやってみた本。だからこそ、知識や教養でない、本来の哲学のあり方が表れているし、読みやすく、アプローチが新鮮。おかげで言語ゲームというものを、ようやくわかったような気がする。なぜ「語りえぬもの」があって、そこから先が行き詰まるのか。辞書の説明で、基本的なことばほど理解に苦しむのはなぜなのか、それが納得できる。ラスト近くになると、現代社会とのかかわりの記述が増えていくが、それが著者の「応用問題」としての提起だろう。自分としては<私>の問題をさらに深めていきたいと思う。

2022/12/24

ころこ

遠い説明的な概念は「本質」だろう。使用、流通があって、はじめてルールのようなものが立ち上がっているようにみえる。言語ゲームによって、あるとき分かる。しかし、そこにルールの本質は無い。共通しているのは、終局的には外部性が無いということだろう。外部性が無いということはメタ構造が生じないため、正統性が確定されない。本質が無いということは人生観に影響を与える。最初に私の死と世界の死の話が出てくる。私は世界の中心ではない。言語ゲームが出来なければ世界は存在しない。「本質」と「分かる」が触れあっていないのが興味深い。

2022/12/23

田氏

ウィトゲンシュタインの哲学は『論理哲学論考』よりも『哲学探究』のほうが“実用的”だ、と言っていたのは誰だったか。後者のコアとなる考えが、言語ゲーム。言葉って、すでにある事物と一対一に対応して生まれるっていうより、何を指し示すかの当てっこゲームでの「わかった!」みたいな何かでできてるよね、的な。この考えは、倫理学などの価値論、社会学や経済学その他もろもろに敷衍できて、なるほど確かに実用的だ。この本は、自身でいわく「オモチャのような」ものではあるらしいが、社会のなりたちを考え、実用の一端に触れることができる。

2023/02/10

原玉幸子

導入の宇宙人の意思疎通手段の言語に?「言語論的転回」への繋がりが分り難かったところもありましたが、後半以降、「痛いから痛いのではなく、痛いと言うから痛いのである」との解説を通じ、「言語ゲーム」が何たるかを知ることが出来て面白かったです。改めて、西洋哲学がモノ(ゴト)の解明と理屈に心血を注いで来たのに対し、例えばインド哲学では「その何かは何かなだけ」と定義する(そこは解明しようとしない)んだなぁ、とふと思いました。最近の流行りか、ビジュアル言語表現主体っぽい書きっぷりが気になりましたが◎(◎2023年・春)

2023/02/17

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