美術館をめぐる対話 (集英社新書)
美術館をめぐる対話 (集英社新書) / 感想・レビュー
アキ
この書が出版された2010年は、著者の建築した豊島美術館が開館し、SANAAとしてプリツカー賞を受賞した。この本ではSANAAの妹尾和世を含め5人の美術に関係した識者との対話があり、彼の「開かれた美術館」というコンセプトが示される。金沢21世紀美術館のコンペでは公園のような美術館、ルーブル=ランスでの「ギャルリー・デュ・タン」というコンセプト、十和田市現代美術館での都市と建築とアートの関係、NYのニューミュージアムの空間的な透明感、どれも現代美術館の魅力を十全に伝えている。街と人と美術館との関係が素敵です
2020/05/25
常磐条
作家の平野啓一郎との対談に思わず膝を打った。若き日のフランク・ロイド・ライトは、削ぎ落としシンプルにすること=引き算に建築の美学を感じていたが、晩年近くにはむしろ、増やし複雑化すること=足し算の魅力を感じていたのだそうだ。思えば足し算も簡単そうで難しい。どこに何をどれだけ足すのか……そうして変化する分母に乗ったダイナミック・コンテクスチュアリズム=“割り算的文化”には、“引き算的文化”とは異なる軽さと面白みがある。世の中の移ろうスピードが掛け算的になってしまった現代においては特に。
2015/12/26
りょう
美術館で語る建築論という内容。日本と欧米の公共に対する考え方の違い(日本→公がやること、欧米→自分事)が興味深い。著者が関わった21世紀美術館はふらっと立ち寄れる、いわく公園のような美術館を目指したというのは、時々ふらっと立ち寄る身としては、なるほどなと思った。
2015/04/19
ちまりん
美術館の中身しか見ていなかった私にとって、美術館のあり方について考えるというのはとても斬新だった。
2014/12/21
佐島楓
建築と美術館、ふたつのワードに惹かれて購入。環境と建築の関係、建築家の表現力、単なるハコにとどまらない美術館の役割といったことについて考えさせられた。
2011/09/25
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