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音楽が聴けなくなる日 (集英社新書)

音楽が聴けなくなる日 (集英社新書)

音楽が聴けなくなる日 (集英社新書)

作家
宮台真司
永田夏来
かがり はるき
出版社
集英社
発売日
2020-05-15
ISBN
9784087211238
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「音楽が聴けなくなる日 (集英社新書)」のおすすめレビュー

ピエール瀧の薬物問題による自粛はなんのため? 過剰な忖度が生む奇怪なメカニズム

『音楽が聴けなくなる日』(宮台真司、永田夏来、かがりはるき/集英社)

 日本のテクノ・ユニット、電気グルーヴのメンバーであり、俳優としても活躍していたピエール瀧が、2019年3月12日に麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。逮捕の翌日、レコード会社は彼らの音源/映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を決定した。こうした過剰で過度に想える「自粛」に異を唱える著者たちが、この問題の背景や構造に迫った。それが、宮台真司と永田夏来とかがりはるきによる共著『音楽が聴けなくなる日』(集英社)である。

 逮捕後、ピエール瀧が俳優として出演していたドラマ『いだてん』では急遽代役が立てられ、相方の石野卓球がDJを行うはずだったイベントは中止に。永田が言うところの日本的な「事なかれ主義」の典型例だ。例えば自粛の根拠やポリシーが分かれば、それを争点が闘うこともできるが、今回の自粛にはそれが皆無。事を荒立てず、波風を立てたくない、という過剰な忖度が背景にあるのは自明である。本書での仔細な検証はそうした現状を浮かび上がらせる。

 かがりによる第二章は、これまでの「自粛」の歴史が綴られて…

2020/6/13

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音楽が聴けなくなる日 (集英社新書) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

しーふぉ

電気グループのピエール瀧の薬物事件をきっかけに、音楽の配信などが一斉に停止された。事件と作品は別に考えるべきとの趣旨。自分には何が正解なのか分からないけれど、考えることを止め、前例踏襲のことなかれ主義で済ますのは何か違うのではと思った。

2023/06/17

たまご

犯罪を起こした(容疑段階も含む)アーティストの作品が見られなくなる日本の状況を,作品回収撤回の署名活動をした永田氏,企業側の作品非流通措置は意外に最近の出来事であることを示したかがり氏,何故そのような社会になってしまったのかを考察する宮台氏が解説しています.いやあ,クズとかクソとか,端的ながら刺激的な言葉で説明される宮台氏,インパクトありますね.自分の判断が信用できないから周囲に配慮して権威的なものに盲目的に従い喧伝する.さらに失敗が許されないのも要因かなと思いました.その割に政治家には甘いですけど.

2021/06/20

ゆうきなかもと

すごい本だ!ソニーミュージックによる電気グルーヴの作品回収、配信停止に対して三人の著者が、鼎談などするわけではなく、三者三様文章を書いている。雑誌の特集のような構成!読みどころは、帯に書いてある坂本龍一の推薦文と宮台先生のアート論!「心に傷をつけること」がアートの本質というのを読んで、長年のアートに対するモヤモヤが晴れた気がした。アートを通して危ないものとか、この世にまだ見ぬものを見たくなるのは、何かすごいものに感染してしまっているからかもしれない。そしてすごいという意味では充分にこの本も感染源たりうる。

2020/07/11

ケー

出版当時はあんまり気に留めていなかったのだけれど最近になって音楽関係の本を幅広く読もうと思い立ち読了。一番興味深かったのはかがやさんの日本の音楽自粛史。正直逮捕されてたら販売が停止になるのが自明と思ってしまっていただけに、その歴史が非常に浅いことに驚いた。宮台先生の章はまさに宮台先生らしい言葉づかいで表現と自粛に対する考察が鋭い。でも前2つと比較してやはりちょい読みにくい。でもかなりおススメなのは間違いない。

2021/05/05

Yappy!

簡単に言うと社会学の本です。宮台さんの名前がある時点である程度は想定したけど、新書としては重たい方の。専門書のように説明に誌面を割けないため、テンポは良いけど難しさが。 永田氏の部分は、ピエール瀧の件について、署名活動などにも触れつつ、企業のコンプライアンスを再帰性(ギデンズ)を足がかりに、事なかれ主義と効率のよい前例踏襲と、流動的な世界(バウマン)で自分で決定しないことの問題点から、その都度選択する重要性をもって、再度今回のメインの話題のようなことが起こる世界での生き方を投げかけています。

2020/09/06

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