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「利他」とは何か (集英社新書)

「利他」とは何か (集英社新書)

「利他」とは何か (集英社新書)

作家
伊藤亜紗
中島岳志
若松英輔
國分功一郎
磯崎憲一郎
出版社
集英社
発売日
2021-03-17
ISBN
9784087211580
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「利他」とは何か (集英社新書) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

2020年発足した東工大の未来の人類センター。そこの利他プロジェクトに参加する5名の大学教員が論考する「利他」。議論で用いるテーマは五者五様。伊藤亜沙さんの功利で定義する合理主義的利他。中島岳志さんの贈与からはじめ互酬性で考える利他。若松英輔さんの最澄と空海が発した利他の考察。國分功一郎さんの受動態の一つ中動態に含まれる利他。磯﨑憲一郎さんの小説創作のひらめきで見る利他。違う専門だからか、発散的印象。そもそも利他は利己から捉えるものだろうか。自己から他があるのか。もしくは他のなかに自己があるだろうか。

2021/04/25

trazom

タイトルから倫理や宗教を想像したが、本書の視座は余りにも広範で深い。何より研究メンバー(=本書の五名の執筆者)が凄い。「利他主義は利己主義にとっての合理的な戦略」「利他の原理を共感にしてはいけない」「利他は他者を支配する」等の西洋的な問題提起に対して、利他行為後の「変に淋しい、嫌な気持」や、柳宗悦さんの自他不二の思想に思いを馳せる中島岳志さんや若松英輔さんの考察が心に残る。人は根源的に利己的であるとするか、「生物学の世界で、種の保存のために利他は当たり前」(大隅良典先生)と考えるかの立脚点の違いも大きい。

2021/06/04

けんとまん1007

利他。以前は、あまり意識する言葉ではなかった。数年前、知人から、「利他の精神に溢れていますね・・・」と、言っていただいてから、頭の中にある言葉になった。中で、取り上げられているインドの例のように思う。自分自身では、何かを意識して行動しているわけではないのだが、そう評価された。伊藤亜紗さんのパートが、わかりやすく、自分の思いに近い。測りすぎや、ブルジットジョブも読んでいたので、そう思う度合いが強いのかもしれない。これから、重要なキーワードになってほしい。

2021/07/04

ハイランド

利他という最近流行りのキーワードだが、単純に利己の反対語という括りでは説明できない奥深さを持つワードである。伊藤氏中島氏の論考から考えさせられることは多い。感謝や見返りを期待する利他の行為は、変質した利己であり、利他というものが社会に組み込まれ、無意識に利他の行為を成しているような社会を目指すべきなのか。アドラー哲学にも通じるところがある。効果的利他主義や、慈悲に隠された優越感も興味深い。それにしても、理工系のカレッジである東京工業大学に「未来の人類研究センター」なるものが存在するのもなかなか興味深い。

2022/06/10

あすなろ

5人の方が利他を研究した内容を各々の立場より書き記された一冊である。利己心と利他心。この利他につきどういうものか気になるものの曖昧模糊としているため読んだ。正直まだまだ曖昧模糊としている。しかし、中島氏の巻末の自らは器であることとの記述やその他の方のオートマティカルである、利己と利他の関係性、通路になるという考え方等何となく概念的なものは掴んだ気がする。ここはまた後日改めて中島氏の利他に関する著作や稲盛氏の過去の著作等別途読んでみようと思う。

2022/09/26

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