書物と貨幣の五千年史 (集英社新書)
書物と貨幣の五千年史 (集英社新書) / 感想・レビュー
みき
★☆☆☆☆
2022/06/09
武井 康則
主にコンピューターを言うのだろうが、複雑な構造や理論など、視覚でとらえられないもの、抽象化されたものをブラックボックスと名付け、それが問題の元凶のように書いている。なんでも見えればいいのか。見えない=悪というのはただの思考停止だ。何の根拠もなしにただ任意の集団にマイナスイメージの名をつけ、その名を連呼する。最近流行の手法。後半は、適当に有名な作品の都合のいい部分を引用し、これでは、社会の仕組みが複雑になって、生きてる実感がないなあとしか言ってない。帯にあるが、本当に岩井克人と松岡正剛は推薦しているのか。
2021/09/24
gorgeanalogue
電子で。貨幣・書物・物語といったブラックボックスは、記号と表象に代表される外在化の技術である、と考えていいだろう。なかなか面白かったが、そのような「技術」がどういう仕組みで作り出されるのか、なぜ何かを知覚し、扱う・見る・書くときに「それ」についての経験が隠されるのかといったことについては解明しつくされるというわけではない。ただし、「あとがき」で「中途半端」について書いているように、何かの結論を求める、という書き方ではなく(著者の積読本もそうだったが)、
2022/01/06
ザフー
著者の前著で、「ビブリオトープ」いう造語を触発されましたが、本著では「マトリョーシカル」になりましょうか。「書物と不可知性」を軸に自分の興味の真ん中にある一冊であるのは『積読〜』の流れからも明らかでした。著者の思考は明らかに松岡正剛さん〜編集工学に影響を受けている感じがします。「見えなさ」「未知」を構造に捉えるということは、知の技法としてもはや一般的な気もしますが、本書は貨幣と書物の概念の同語反復性や、複製への警告性などそれらの相似性をテコに、人類史のブラックボックス的入れ子構造を読み解いています。
2021/12/07
しゅん
考えを広げるほどに、人間の生活は未知のもの(=ブラックボックス)に依存せざるを得ないという認識に囚われる。本書は、コンピューター、書物、貨幣と、歴史上に現れたブラックボックスを記述していく。価値判断は脇に置いて、世界はこういうもんだという把握を細部と概要の両面から描き出す。貨幣における時間の商品化と、「時間は存在しない」の話が両方出てくる。本の中で明言はされてなかったかと思うが、時間こそが人類の発明した最大の謎なのだろうか。3章の理論篇が読んでいて楽しかった。一番人間くさい章だと思った。
2021/10/15
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