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弥勒 (集英社文庫)

弥勒 (集英社文庫)

弥勒 (集英社文庫)

作家
篠田節子
出版社
集英社
発売日
2019-08-21
ISBN
9784087440102
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弥勒 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

新しい国家を生み出そうとする壮大な物語でした。読み応えがあります。理想的な国家を創ろうとする時に目指すべきはどのようなあり方でしょう。今の世界には多くの資本主義国家と一部の共産主義国家があります。しかし国のあり方はまだまだあります。みんなが平等で幸せを感じられる無所有・完全平等・国家とは幻でしかないのでしょうか。物質文明よりも尊重されるべきは精神性かもしれません。理想の前に立ちはだかる絶望的な矛盾を臨場感を持って味わわせてもらいました。

2021/03/23

Shun

新聞社に勤める主人公は社交場で妻が挿していた櫛に違和感を覚え、それが持ち出し禁止のはずのヒマラヤの小王国パスキム独特の仏像彫刻であると確信する。この出所を探り以前訪れたかの国で政変があったと知り、仕事を離れ一人密入国を試みる。そこで行われた弾圧はノンフィクションとも遜色のないリアリティで描かれます。理想主義のインテリによる変革は様々な矛盾や歪みを孕み、次第に地獄の様相を見せ、パスキムという架空の国を描きながら、国王を始めとした階級制度の否定や宗教の否定、そして文化の破壊について幅広く考えさせられました。

2019/11/15

えみ

あまりにも圧倒され過ぎて、感情のコントロールが効かなくなってしまったみたい。たった二文字「救済」の言葉、その意味に打ちひしがれて最後は訳もわからず泣きながら本を閉じた。今ここで本を読んで感動できる暮らしをしている幸せをもっと噛み締め大切にしたいと思わずにはいられない。政変で殺戮が繰り返される仏教美術の国・パスキム。そこで革命軍に捕らえられた永岡は戦慄の世界を目の当たりにする。今この状況が辛いと思う状況を、幸福と感じる人が確かに存在する。完全平等の社会、理想郷を求める人が行き着く先には…。恐怖と衝撃の大作。

2019/08/25

shi-

篠田さんの本は結構読んだいたつもりなのに、こんな素晴らしい凄い作品が未読でした。圧倒的なリアリティと凄まじいパワー、壮絶な描写に一気にパスキムという国に連れて行かれる。理想…この言葉を追い求め実現することの難しさ、物事の極端さが生む危険さ。とてつもなく恐ろしい本を読んだ。 暫く心が立ち直れなさそう。まだドキドキが止まらない。

2019/09/24

えりまき

2020(205)今までにあまり読んだことのない内容でした。衝撃的。読んで良かったです。パスキムでの戦慄の日常。美しい美術品と反した、人々の貧しい生活。今、この時もどこかの国でこんな事があるのでしょうか。パスキムで捕虜になったジャーナリスト永岡英彰。パスポートを捨てられ、言葉が通じない村で、強制労働を強いられる。国民を強制労働と学習で教育して、歯向かう者は殺し、理想国家を作る。集団強制結婚で夫婦となったサンモとの生活。パスキムから脱出後の続きを読みたい。

2020/08/29

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