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弥勒 (集英社文庫)

弥勒 (集英社文庫)

弥勒 (集英社文庫)

作家
篠田節子
出版社
集英社
発売日
2019-08-21
ISBN
9784087440102
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弥勒 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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Shun

新聞社に勤める主人公は社交場で妻が挿していた櫛に違和感を覚え、それが持ち出し禁止のはずのヒマラヤの小王国パスキム独特の仏像彫刻であると確信する。この出所を探り以前訪れたかの国で政変があったと知り、仕事を離れ一人密入国を試みる。そこで行われた弾圧はノンフィクションとも遜色のないリアリティで描かれます。理想主義のインテリによる変革は様々な矛盾や歪みを孕み、次第に地獄の様相を見せ、パスキムという架空の国を描きながら、国王を始めとした階級制度の否定や宗教の否定、そして文化の破壊について幅広く考えさせられました。

2019/11/15

えみ

あまりにも圧倒され過ぎて、感情のコントロールが効かなくなってしまったみたい。たった二文字「救済」の言葉、その意味に打ちひしがれて最後は訳もわからず泣きながら本を閉じた。今ここで本を読んで感動できる暮らしをしている幸せをもっと噛み締め大切にしたいと思わずにはいられない。政変で殺戮が繰り返される仏教美術の国・パスキム。そこで革命軍に捕らえられた永岡は戦慄の世界を目の当たりにする。今この状況が辛いと思う状況を、幸福と感じる人が確かに存在する。完全平等の社会、理想郷を求める人が行き着く先には…。恐怖と衝撃の大作。

2019/08/25

シーズー

篠田さんの本は結構読んだいたつもりなのに、こんな素晴らしい凄い作品が未読でした。圧倒的なリアリティと凄まじいパワー、壮絶な描写に一気にパスキムという国に連れて行かれる。理想…この言葉を追い求め実現することの難しさ、物事の極端さが生む危険さ。とてつもなく恐ろしい本を読んだ。 暫く心が立ち直れなさそう。まだドキドキが止まらない。

2019/09/24

Y.yamabuki

ヒマラヤの国パスキムで政変が起こり、持ち出し禁止となっている仏像の一部が、日本に入ってきていることに永岡は気づく。この国の仏教美術に魅了されている彼は、密入国するが捕らえられ、「完全平等自給自足」の理想郷を目指す新政権の元、過酷な農作業に従事させられる。しかしこの革命も徐々に破綻へと向かっていく。完全に平等な社会、宗教や言い伝えの全否定、何れも極端に走ると成り立たない。辛い描写が続くのに、ページを捲る手を止められない圧倒的な筆力。架空の国であるパスキムのディテールの鮮やかさ。読み応えのある一冊だった。

2019/09/25

toy

読了。700ページを超える長編に読み応えのある重厚なテーマは凄まじい。しかしながら偽善者たる主人公の愚かさから垣間見える筆者の男性像への描写には幾度も辟易させられた。善悪のみで答えのない考えさせられるストーリーも理解出来るが、フィクションとして筆者なりの救いとなる回答を求めたいのも、一読者としての我儘なのではなかろうか…

2019/09/27

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