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あるいは修羅の十億年 (集英社文庫)

あるいは修羅の十億年 (集英社文庫)

あるいは修羅の十億年 (集英社文庫)

作家
古川日出男
出版社
集英社
発売日
2019-11-20
ISBN
9784087440478
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あるいは修羅の十億年 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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masa

オリンピック反対なのにフジロックを観る僕にダブルスタンダードと君が言う。不要不急という蔑みに、母のつぶやきがダブる。産まなければ良かった。やがて言霊は真実を支配する。人前で演奏を禁じられたまま好きなバンドが次々壊れていく。だから僕は聴かれない音楽と無音との違いを探して証明したいんだ。できなければ人間が生き延びる犠牲にロックは死ぬだろう。その解をここにみた。文章から迸る響き。"意味"ではなく"音"としてのことば。想いは意味では伝えきれないから音に宿って国境を越える。憎しみはもう十分だ。世界を愛してください。

2021/08/28

さっとる◎

空っぽの手に本(フィクション)。武器を持たず物語だけを握りしめて闘おうとする私をどうか笑わないでほしい。殺すものが生かすものでもあることを、私は私が生きることで証明しようと思う。空と海が国境を意識しないことは、打ち上げられるものたちが証明してくれる。大きすぎた波がもたらしたのは多すぎる死と巨きすぎる鯨の死ではあるけれど、そこから命が生まれ直したことは想像力が証明してくれる。ハロー物語を読む阿修羅たち。世界の歴史を奪還せよ、記憶を創造せよ。そんなの偽物じゃないかって?ふふ、知ってる。でもいるんだよ、物語が。

2020/03/20

hide

ここにも森があった。翼を持たず逃げる事も叶わなかった森が更に広がりをみせる。森には当然、幾多の木があるだろう。一本一本の木には物語がある。それぞれの物語が集まった森はどんな物語になる?惑わされるな。それは実体ではない。一本の木ですら同じ。本体は地中に張り巡らされた根にある。根こそぎ歴史を覆す10億年前の神話の中に。神話は何を物語るのか。まるで茸のように胞子を飛散させ土壌に撒き散らかす鯨歌が突然ブツリと途切れる。そうだ。これが古川日出男だった。

2021/04/17

東京湾

「生き物は、場所を、環境にするのね」2011年、震災により2基の原発が爆発、汚染された地域は「Shima」として先進諸国の環境実験地となり、2020年、復興の象徴たる五輪では汚染土によるテロが発生、そして2026年、スラム化する都市、疑似家族、BC兵器、移民...混迷する新時代とそこに生きる人間の在り方を描く一代クロニクル。馬、茸、鯨の三つのイメージが基盤となって、物語は駆動し拡大する。鯨から生まれた東京というのは叙事詩めいていて素敵だった。震災後の日本、未だ見果てぬその可能性を壮大に夢想した傑作だ。

2020/03/13

YH

設定が似てる訳でもないのに、愚者と愚者をなんだか思い出してしまう。福島出身の古川さんだから描けた話なのだろうな。被災地なのに風評被害を受けた事に対しては思うことも当たり前だが沢山あるんだなと感じた。

2021/06/26

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