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波の上のキネマ (集英社文庫)

波の上のキネマ (集英社文庫)

波の上のキネマ (集英社文庫)

作家
増山実
出版社
集英社
発売日
2021-01-20
ISBN
9784087442021
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波の上のキネマ (集英社文庫) / 感想・レビュー

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里愛乍

映画館で観る映画が好きだ。話題作をシネコンで観るのもいいけど、お気に入りの映画館でふらりと立ち寄って出会うのもいい。柄本のじいさんが語る世代を微ながら覚えているからだろうか、懐かしさに込み上げてくるものがある。だけど本作はそんなノスタルジーに浸ってるだけではすまなかった。こんな過酷な労働?があろうかと凄まじさに息を呑むばかりである。そんな人間の感覚すら失う毎日に感情を取り戻してくれたのは音楽であり映画だった。人間の生活に何が大切か、切り離してはいけないか、このご時世に改めて考えさせてくれたと思う。

2023/01/08

トラキチ

再読。増山さんの作品は歴史を追体験出来ます。本作では閉館を決めている尼崎の単館系の映画館のオーナーが、あるきっかけから映画館をオープンさせた祖父のことを遡ります。そこで一筋縄でない祖父の経験を知ることとなりますが、読者も然りですね。舞台は西表島、石炭発掘のために過酷な強制労働が描かれます。作中の言葉を借りれば、多くの人が日本の近代化の犠牲となります。参考文献も多く、実話を元にして作られてるので感慨深さはより深いです。それと、各章映画のタイトル名がつけられていて、作者の映画に対する造詣深さが伺い知れます。

2023/07/17

JUN

友人にもらった本。西表島の炭鉱の話。実際に、こんな悲惨で過酷な牢獄のような場所があったんだろうな。

2023/02/10

野比玉子  

壮大な物語だった。西表島に日本有数の炭鉱がありその中に映画館があった事など全く知らなかった。映画と炭鉱がどのように繋がっていくのか話を辿っていく中で、忘れてはいけない事実があり、それを基にしてこの小説が生まれた。映画は炭鉱の中で働く坑夫たちの一筋の光であったことがひしひしと伝わってきた。尼崎の映画館と炭鉱の中の映画館が繋がった時に感動で心揺さぶられて言葉にできない。

2021/09/24

あかり

祖父が創業した映画館「波の上のキネマ」を継いだ安室俊介。経営が傾き廃業という言葉が頭をかすめる。ところがあることをきっかけに祖父の過去が明らかに…。物語は現代の尼崎の映画館から昭和二十年前後の西表島炭坑へとトリップ。過酷を極めた炭鉱労働夫の生活は南国の長閑な印象とは真逆のもの。この本を読むまで西表島の炭坑の存在すら知らなかった。ジャンル分けに困ったけれど読後感はいい。映画をとっかかりにいい勉強ができたと思う。

2021/05/21

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