沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち (集英社文庫)
沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち (集英社文庫) / 感想・レビュー
二人娘の父
文庫化にあたり新たに一章が追補された。これにより当時の米国民政府の政策的意図がより鮮明になっている。初読の際もかなり衝撃を受けたが、再読した今回も新鮮にまた読み飛ばしていた事実など改めて認識することができたことは収穫だった。著者の粘り強い取材と揺るがないヤマト人としての視点に、大いに学びたい。本書で明らかにされる事実は、沖縄県民でも知らない人が多数であろう。いわんやヤマト人は、である。歴史の中で決して忘却してはいけない事実を記録することの意味をかみしめたい。次に渡沖した際には真栄原地域はぜひ歩いてみたい。
2022/01/28
Katsuto Yoshinaga
2010年、浄化運動により沖縄の売春街が消滅した。そもそも街は何故あったのか、どんな形態の街だったのか、どのような生があったのか、ヤクザから警察まで丹念なインタビューに基づいた力作。反対運動の女性団体に嫌な感じを抱く従事者の声、浄化運動を進める政財界御用達の老舗料亭「料亭那覇」の売春事件、反米団体と基地収入に頼る住民の相克といったようなジレンマが随所に描かれ、解答なき課題を突き付けられる。本書の中でドキュメンタリー映画「モトシンカカランヌー」が紹介されている。このタイトルが解答へのひとつの糸口なのか。
2022/04/02
lllともろー
青い空と青い海。そこしか見ようとしないと沖縄の真実は分からない。戦後、生きるために売春しか手段が無かった人たち。浄化作戦によって消えていく町。重い。ひたすら重い。
2022/03/24
ますりん
「沖縄オトナの社会見学」で3バカオジサンのひとりだった著者は、実は凄腕のジャーナリストだったという。よくここまでたくさんの人と会い、残された記録と向き合い、土地土地を練り歩いたか、強烈な時間と労力をかけてるのが読んでいてひしひしと伝わり、かつ緻密でフラットな書きぶりにただただ驚嘆。沖縄戦後史と米軍基地、目を覆う凄惨な事件史、戦果アギヤーと暴力団、貧困と売買春、性病とオフリミッツとAサインバー、熾烈な浄化作戦と退廃して老いていく街。特に浄化作戦の一部始終の調査と、文庫に追補されたAサインバー史は圧巻です。
2021/09/18
うえだ
追補章があったので、文庫を買って再読。モトシンカカランヌー、嫌な言葉だ、せつない言葉だ。
2021/07/01
感想・レビューをもっと見る