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真実の航跡 (集英社文庫)

真実の航跡 (集英社文庫)

真実の航跡 (集英社文庫)

作家
伊東潤
出版社
集英社
発売日
2021-12-17
ISBN
9784087443318
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真実の航跡 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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えみ

戦争を経験したことのない私が当時の人々の気持ちを推し量り、憐れ哀しみ慟哭することは身勝手でそんな資格もない事は分かっている。それでもたった二文字「正義」の言葉の重さを知ってしまったからには涙を堪えることなどどうしてもできなかった。敗戦国日本の罪は誰が背負うべきなのか。「掟こそ正義」と信じ、誇りを守るためなら死ぬことさえ厭わないという海軍元中将と「法こそ正義」と未来ある日本の為に減刑を勝ち取りたい戦犯弁護士の静かな応酬は、2人の正義がどちらも間違っていないだけに胸が苦しくなる。貫く人は本当に強い。そう思う。

2021/12/26

BATTARIA

日本軍の戦犯裁判が舞台だけに、最後まで読むのはキツかった。誰かの責任を明確にすると天皇陛下が……という理屈が日本を敗戦に導いたのは確かだが、抗命しなければ命じた上官と同罪とは論外な話で、そういう土壌から生まれたと思うと、アサーションなんていいことでも何でもない。発達障害という言葉が当時あれば、間違いなく海軍兵学校に入れなかったような人物が艦長では、最新の重巡洋艦があっても役に立たんわ。海軍では栗田健男、小沢治三郎、西村祥治、伊藤整一、陸軍の佐藤幸徳、牛島満、長勇、栗林忠道、何とも中将とは損な立場だ。

2022/11/03

coldsurgeon

平和ボケしている現代から過去を見つめ直す物語である。第二次関大戦末期のインド洋での日本軍作戦行動に関わる、民間商船を拿捕する作戦の遂行の末、捕虜を多数殺害した事件は、私が知らなかったことであり戦後の戦争裁判の人間ドラマは、心をとらえて離さなかった。戦争と国家の所業、人間の尊厳、そして法の正義を真摯に問いかける。人は立場により物事を判断して、自らの行動を決めていく傾向がある以上、戦争を遂行する軍隊の中で、人道上許されぬ行為が起きてしまうのだろう。戦争は正しくないからこそ、結果はいつも悲劇だらけだ。

2022/02/20

hiyu

多分ビハール号事件がベースになったものだろう。鮫島自身は五十嵐、乾等の振る舞いに翻弄されつつも、法の正義を貫くことの意味を強く問いかけるものであった。文中のメッセージ性も強く印象に残った。

2022/12/28

蝉の一生

第二次世界大戦中の「ビハール号事件」(捕虜虐殺事件)におけるBC級裁判をモデルとした小説。浅学でどこまでがフィクションかはわかりませんが、今も我が国に根深く残っているように思える(若い人は違うかも)「阿吽の呼吸」や腹芸的な要素、建前と本音の使い分けの器用さなどが悲劇の原因の一つといえそうです。軍隊という極めて指揮命令がはっきりしているはずの組織でこのような事態が発生するとは。欧米の軍隊ではどうなのでしょうか、比較論があれば、知りたいところです。

2021/12/30

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