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私の家 (集英社文庫)

私の家 (集英社文庫)

私の家 (集英社文庫)

作家
青山七恵
出版社
集英社
発売日
2022-12-20
ISBN
9784087444667
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私の家 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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エドワード

60歳になると、私の家族という言葉の内容も重層性を帯びてくる。昭和37年生まれの私が子供だった家族。祖父母や両親等に囲まれた白黒写真。祖父母も両親も亡くなり、私が年長者となり子供や婿たちが今の家族だ。移りゆく鏑木家の四世代。私と同世代の祥子の家族の、母の照の四十九日から始まる一年間を丹念に描く。向田邦子を彷彿とさせるね。祥子の二人の娘になると完全に現代だ。急激に変わった日本人の生活。近くて遠い家族。家も変わった。私の家はどこにあるのか。家にこだわらなかった照と、家にこだわる妹の道世の人生が味わい深い。

2023/01/02

ゆきらぱ

良かった!とても。話の終わりに私も熱い湯につかり、布団に入った気分になった。最後にある、理不尽であればあるほど、人生には説得力が増す、っていうのは真実かもしれない。何より普段は理不尽な事が起こることを恐れて暮らしているがそう思えば怖くはない。ある家族の物語なのだが脇役は存在しない。皆来る日も来る日もあれこれ考えて人生を重ねてゆく。特に59歳の祥子のキャラが良かった。元体育教師で今もはきはきしているが小さい時に祖父母に預けられた過去にこだわりを持っている。色々な側面を持っていた。

2023/07/21

mayu

「家」と切り離せない家族の連作短編集。失恋をきっかけに実家に戻ってきた梓、一児の母の姉の灯、縁も繋がりも無いシングルマザーの世話を焼く母親の祥子、無人の家に通う父。毎日訪ねてくる常連さんの相手をする叔母の道世、母の姉の純子に行方不明の兄の博和。自分にとっての「家」ってそれぞれ。母の気持ちは中々娘にはわからなかったりする何気ない日常の積み重ねは家族ってそうだよなと思わせる。実家を出たら帰っても住んでる時とは違う気持ちになるなぁと思ったり。法事から始まり、法事で終わるのが良かった。

2023/02/08

ひでお

家、という言葉に多層的な意味が込められているように思います。住まいとしての家、血縁としての家、そして自分の心の拠り所としての家。そんないろいろな意味の家をめぐってある家族の物語が紡がれる作品です。家族のつながりは、普段の生活ではあまり意識しませんか、深く掘り下げるとやっぱりつながっているのかな、とふと思いました。

2023/09/21

みどりまま

たとえば今日、これから家に帰り、お茶を飲みながら新聞のテレビ欄なんかを眺めているところに『ただいま』と声がして、あの子たちが廊下を駆けてくる、ランドセルの中身がカチャカチャ鳴り、洗面所からはジャージャー水が流れ始める、そんなことはもう起こらないのだろうか?」 本当に、子どもが小さいときは、大変だった。でも もう、その頃にはもどれないのですね。 今ならそんな日常は幸せだとわかるんだけど。 本当に話すべきことなんて、ほとんど話されたためしがない。肝心なことは何も掴めなくてもそれでも目に見えない塵が

2024/01/23

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