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東京ロンダリング (集英社文庫)

東京ロンダリング (集英社文庫)

東京ロンダリング (集英社文庫)

作家
原田ひ香
出版社
集英社
発売日
2013-12-13
ISBN
9784087451481
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東京ロンダリング (集英社文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

『死んだ人の部屋に住むのが』仕事というりさ子の『ロンダリング』の日々が描かれるこの作品。”事故物件”という、決してなくならないそんな部屋に、ただ住むことを一つの”お仕事小説”として描いたこの作品。”事故物件”では何かが起こるという視点ではなく、りさ子の生き様に光を当てていくこの作品。とても興味深い話題が極めて読みやすい物語の中にまさかの重みをもって描かれていくこの作品。原田さんの作品らしく美味しそうな食べ物がそこかしこに登場する中に、“お仕事小説”を得意とされる原田さんの目の付け所の鋭さも光る作品でした。

2022/09/19

ノンケ女医長

ロンダリングは、洗浄するという意味。家賃が104万円もする、タワーマンション44階の部屋から見える都心の眺望に、落ち着かなくなる内田りさ子。心身のバランスが崩れていることにも気づかないくらいの、苦しさに満ち満ちた仕事を選んだきっかけを感じ取り、りさ子への感情移入が抑えられなかった。日々の過ごし方は、自傷行為に極めて近いのかもしれない。これ以上、自分自身を責め続けなくても済むのなら、誰かの役に立つ仕事をしたいという人には、共感できる点がかなり多くあるのでは。著者ならではの、細やかな社会の着眼点に溢れていた。

2023/01/31

エドワード

マンション等の賃貸物件で死人が出た時、そこに短期間住んでほとぼりを覚ます間借りがロンダリングだ。ある事情で住処を失ったりさ子は住むだけで収入になるこの仕事を始める。いつもにこやかに愛想よく、でも深入りせず、目立たないように、がこの仕事の極意だ。彼女は雇い主の指示で、広い東京を次々と移り住む。ある時、谷中の木造アパートへ入った彼女は、ふとしたことから地元の食堂で働き始め、本意ならずも人の情に触れていく。深入りしてはいけない、と心は揺れる。人は一人で生きていくのか、そうでないのか、考えさせられる深い物語だ。

2014/11/20

dr2006

「ロンダリング」っていったいなんだろうと思いながら手に取った。直訳は「浄化」だけど、ここではワケアリ賃貸不動産を浄化する話だ。前の住人に何らかの問題がありワケアリ物件となった場合、貸主は次の借主に説明をする必要がある。だが、その次の借主には説明の必要がない。つまりワケアリ物件を納得の上でワンクッションを置く為に住む仕事がロンダリングだ。その題材の斬新さに興味がありワクワクしていたのだが、心情描写も丁寧簡潔で好きだ。気づいたら一気読みだった。初読みの原田さん、あまり感想登録数が少ないがお薦め。

2015/04/08

あすなろ

事故賃貸物件をロンダリングする…。そもそも事故物件自体は知っているが、こうしてロンダリングしている、更にはこうして履歴を失くしている事に驚いた。とてもある意味興味深い内容である。そこに上手くヒューマンの部分を落とし込んでいる連作短編集。続編も実は積んでいる。というか、続編を積んでから初めてそれが続編だと気付いたので本作より読了。早速続編を手にしたい。

2022/10/02

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