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葉桜 (集英社文庫)

葉桜 (集英社文庫)

葉桜 (集英社文庫)

作家
橋本紡
出版社
集英社
発売日
2014-04-18
ISBN
9784087451856
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葉桜 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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相田うえお

★★★☆☆17067 今にも壊れそうな繊細さを感じる作品でした。いつまでも読み終わりたくないと思いつつも読了。後には余韻が強く残ります。この作家さんは、偶に設定が奇想天外では?という印象もあるんですが心に深く響く作品が多いので好感もてますね。雑談を。小学校で習字の時間ありましたよね。みんなは墨汁使ってましたが、当方は硯に水を注いで固形墨をコシコシする派!薄墨にならないように一生懸命に磨って、やっと濃くなったとき「キンコンカンコン〜」一枚も書かないで終了〜みたいな感じ。墨の消費量は多いけど紙は減りませ〜ん。

2017/07/19

しいたけ

書道教室の先生への散る儚さ前提の片恋。高校三年生とは何ともあやふやで、その瑞々しさに微かな甘い香りを掬いとる。墨をすり半紙に向かったような間合いと緊張感。感情のザラザラした面を人の肌に当てない、登場人物たちの清らかな強さ。半紙のなにも書かれていない白いところが、本の中に生きる人の細やかな心の動きを際立たせる。ぶつけても、ぶつけても、跳ね返されたその恋は、空に舞い上がり彼女の明日に降り積もる。樹に眩しい緑が生い茂る。

2018/04/21

さおり

橋本さんの文章は、なんでか泣けてしまう。泣かせどころ(があるのかは、わかんないけど)じゃない日常の描写が、なんかしらんけど心にくる。不倫系は嫌い、と思ってなかなか手を出さなかった本だけど、全然そういうのじゃなかったです。とても、良かった。

2015/02/23

ユメ

私はこの物語をとても平静には読めなかった。途中で何度も本を閉じ、深呼吸する。妻のいる書道教室の先生に長い片思いをしている主人公の佳奈。17歳で死ぬかもしれないと言われている妹の紗英。指一本触れたら崩れ落ちてしまいそうな青春の脆さが、私を息苦しくさせる。とうに過ぎ去ったと思っていたそんな季節が、案外まだ近くにあったことに気付いたからかもしれない。佳奈は、書道をするとき必ずきちんと墨をする。そしてその青に思いを沈める。その字で心を伝える、佳奈の選んだ道がよかった。それしかない、私にもそう思わせるシーンだった。

2016/01/16

おかむー

2014年に心に残った作品を再読。図書館本で初読みしたときの感触とまるで違う深みが味わえた。『たいへんよくできました』。主人公・佳奈の視点のみで描かれるため、書道の師・継野の過去、妹・紗英の宿命、祖父、両親の想いといった、佳奈をとりまく人々に秘められたものは必ずしもはっきりとした結末が描かれない。しかしだからこそ、クライマックスで描かれる書を介して交わされる想いがしっくりと馴染むのだろう。ある意味この作品の中で異質な津田くんのどストレートさもよいスパイスになっているね。文庫版のカバー写真がまた絶妙です。

2014/12/19

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