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友罪 (集英社文庫)

友罪 (集英社文庫)

友罪 (集英社文庫)

作家
薬丸岳
出版社
集英社
発売日
2015-11-20
ISBN
9784087453799
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「友罪 (集英社文庫)」のおすすめレビュー

心と体の殺人はどちらが重いの? 『Aではない君と』からいじめについて考える

『友罪』(薬丸岳/集英社)

 2018年5月に映画版が公開予定の『友罪』(薬丸岳/集英社)は酒鬼薔薇事件をもとに描かれた、友情小説だ。そんな『友罪』の次にぜひ読んでみてほしいのが、本作『Aではない君と』(薬丸岳/講談社)だ。

 本作は、主人公・吉永圭一のもとに入った、1本の電話によって始まる。それは、ひとり息子である中学生の翼が同級生の友達を殺し、死体遺棄容疑で逮捕されたという衝撃的な事実だった。逮捕された翼は父親である吉永や弁護士が尋ねても、犯行の理由を語ろうとはしない。そこで吉永は自分の息子がどうして殺人を犯したのかを自分自身で知るため、弁護士の代わりに保護者が話を聞ける「付添人制度」を使い、息子の心を知ろうとするのだ。

■心の殺人と体の殺人はどちらが重いのか  未成年の犯罪をテーマにした作品は、数多くある。その中でも本作は、贖罪をとことん突き詰めているのが特徴だ。犯罪は加害者にのみ、罰が与えられることが多い。もちろん、どんな理由があったにせよ、罪を犯すのは悪いことだ。

 しかし中には本作で殺された優斗のように、清廉潔白ではない被害者もいる。こうし…

2018/3/19

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生田斗真&瑛太主演映画『友罪』「心を許した友が、かつての凶悪事件の犯人“少年A”だったら…」

(C)薬丸 岳/集英社 (C)2018映画『友罪』製作委員会

 2018年5月25日(金)に公開される生田斗真&瑛太の主演映画『友罪』。原作は2013年に発表された小説『友罪』。神戸児童連続殺傷事件を彷彿とさせる展開が話題を呼んだサスペンス小説で、江戸川乱歩賞の受賞をきっかけにデビューして以来数々の賞に輝いてきた薬丸岳が手がけている。  映画版は、『64-ロクヨン-前編/後編』の大ヒットも記憶に新しい瀬々敬久が脚本・監督を担当。キャリア史上最難とも言える役に挑む生田斗真と瑛太を主演に、佐藤浩市や夏帆、山本美月に富田靖子と日本映画界を代表する名優が集結した。  作中で描かれるのは世間を震撼させた過去を持つ少年Aの“その後”と、周囲の人々が抱える葛藤だ。それぞれの過去と現在が絡み合い、疑心や後悔に囚われた様々な人間模様が交錯。観る者を人間存在の謎に満ちた深みへと導く、慟哭のヒューマンサスペンスが繰り広げられていく。 <あらすじ> ある町工場で働き始めた元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。共通点が何も無か…

2018/5/8

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生田斗真&瑛太で『友罪』映画化決定! 世間を震撼させる事件を起こした少年犯のその後を描く

『友罪』(薬丸岳/集英社)

 薬丸岳の長編小説『友罪』が、生田斗真と瑛太の共演で映画化。2人のタッグに「これは観たいぞ…」「生田斗真に瑛太とは最高のキャスティング!」と反響が起きている。

 同作は、友人が14年前に日本を震撼させた連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑心暗鬼に陥り、葛藤する男の姿を描く。

「あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?」という問いかけが話題となった同作の監督を務めるのは、「64 ロクヨン」シリーズで重厚なドラマを描いた瀬々敬久。生田が町工場に務めることになった益田を演じ、瑛太は益田と友情を育みながらもやがて益田から疑いの眼差しを向けられる鈴木を演じる。

 ファンからは「瀬々敬久監督に生田斗真、瑛太共演なんて観ないわけにはいかない」「大好きな小説が大好きな俳優で映画化されるなんて嬉しい!」「公開が待ちきれないんですけど!!」「5回くらい読んだ作品だから早く観たい」といった声が続出。

 同作について生田は「瑛太さんが放つ獣のような鋭さと、ふとはにかんだ時の柔らかさに愛を持って対峙し、切磋琢磨しながら素晴らしい作品作りに励みま…

2017/8/6

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友罪 (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

W-G

先に読んだ二冊と比べても、段違いに面白い。面白いという表現さえ不謹慎呼ばわりされそうな内容。にも関わらず敢えて"面白い"という表現。解説のとおり、鈴木の内面描写は一切ないが、要所要所で作者が読者に見せたい"鈴木像"への誘導はしっかり為されており、益田や弥生が肝心な時に限って、やたら軽率な行動に出ることまで、結局、人工的な"小説世界"。しかし、その中で、圧倒的な品質と呼べる織り込み。「なんと言っていいかわからない」「感想が思い浮かばない」というレビューの多さが勲章がわり。『Aではない君と』も読もう。

2018/07/01

nobby

自分の周囲に凶悪または破廉恥な“過去”があることを知った時、どう対するのか。夢中で読んだ後も答えなど出せそうにない。中盤からはもう崩れていく展開が分かりやすく切なく胸いっぱい。“罪を背負って生きる”難しさ。被害者の立場からすれば生きているだけでも憎いであろう。でも生きるに当たっては喜ぶ場面もあるだろう。それでも更生されたとする犯罪者を自分がどこまで受け入れられるのか、一言では片付けられない…こんな重いテーマでの600頁を一気に読ませる薬丸作品さすがだ。

2015/12/13

トンちゃん

親友がが猟奇殺人犯だったら…という視点で描かれている小説。読者はどうしても酒鬼薔薇事件を思い浮かべてしまうでしょう。少年Aとしての鈴木のような性格であれば私なら親友であり続けるかもしれない。でも、現実的な反応は主人公たちのように距離を置こうとするのでしょう。 過去はどうやっても正当化できません。 作中に出てくる山内の息子の事件との対比が面白いなと。親友の過去に故意犯か過失犯のどちらかの事件があったとして、過失犯なら許されるのか…。もし、真摯に反省しているのなら許しわしなくても親友でいても良いのでは。

2020/05/19

hit4papa

少年の頃に猟奇殺人を犯した過去を持つ、青年の物語です。いわゆる少年Aのその後を描いた作品で、彼が友と信じた同い年の青年との関係性が主軸です。人は自分の知人が殺人犯と知った時、どのような思いに囚われるのか。友情を、そして愛情を、それを知る以前と同様に持ち続けていくことができるのか。本作品は、著者がよく取り上げる少年犯罪や加害者の心の内をテーマとしています。消せない過去を持っていても、人は前を向いて歩いていく術はある。本作品は、こういうメッセージが込められていると思うのです。「友罪」は、良いタイトルだなぁ。

2020/04/28

こーた

人は誰しも、触れられたくない過去というものを抱えて生きている。忌まわしい過去は隠したままにしておきたい。そうおもっている反面、一方では誰かに話を聞いてほしい、過去を洗いざらい打ち明けてしまいたい、という想いをいだいていたりもする。わたしは聞き役であるはずだった。なのにひとの大いなる過去と対峙したとき、思い出されるのはわたし自身の過去であった。相手の過去を暴こうとするあまり、木乃伊取りになって自分の過去が襲いかかってくる。ひとの物語を聞きながら、自分の過去に想いを馳せる。小説を読むのも似たようなものである。

2018/06/14

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