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逢坂の六人 (集英社文庫)

逢坂の六人 (集英社文庫)

逢坂の六人 (集英社文庫)

作家
周防柳
出版社
集英社
発売日
2017-09-20
ISBN
9784087456356
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逢坂の六人 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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エドワード

古典の授業は不思議である。数学や英語の授業で理屈攻めにあっているさなかに、「恋しかるらん」「逢はでもがな」と恋心に出会う。日本初の勅撰和歌集の編纂に努める紀貫之を主人公に、在原業平、小野小町、文屋康秀、大友黒主、僧正遍昭、喜撰法師ら六歌仙と語る、古代の人間模様。やまとことばの美しさが堪能できる。日本語は、シャキッとした漢語と、たおやかな和語に彩られて、実に繊細な表現が出来る。ノーベル賞はやはり無理ですよ。「夢やぶれる者が増えるほど、お歌が盛んになる。」含蓄のある言葉。「荒野の七人」もどきの題名にニヤリ。

2017/10/15

niisun

古今和歌集にも載っており、百人一首の中で私が一番好きな“わが庵はみやこの辰巳しかぞすむ 世にうぢ山と人はいふなり”の作者“喜撰法師”とも言われる古今和歌集の中心的な撰者である紀貫之。彼を語り部にした古今和歌集誕生秘話。貫之と六歌仙との交わりと、それぞれの歌が詠まれたいきさつが想像たくましく描かれていて、とても面白かったです!文庫巻末の解説でも、「なぜこんなに面白そうな小説を上梓された時に読まなかったのだろう?」「書評家として恥ずかしい」とありましたが、私も何故に今まで読まずに来たかと歯噛みする思いです。

2017/11/28

hrmt

周防作品は3作目。“六歌仙の話”ぐらいの前知識で、しかも和歌に詳しくないため躊躇いつつ読み始めましたが、紀貫之が古今和歌集に選んだ彼の人たちとの繋がりが面白く、古の人たちが頭の中で生き生きと動き出しました‼︎幼い貫之と業平や貫之とその娘とのやり取りは微笑ましく、業平と二条后の恋や老いた小野小町が語る恋の駆け引きはその愛憎がなんとも平安チックで、黒主が語る壬申の乱の裏や遍照の段での権力のオドロオドロしさに目を剥きました。雅の世界もそれだけであるはずがなく幾多の人の心が込められたやまとうたに興味が湧きました。

2021/11/03

AKI

私の中では歴史や古典の教科書の中の知識の一つでしかなかった紀貫之が、可愛くて、ちょっと天の邪鬼で、人生を楽しんでいる生き生きとした身近な人物に変わったし、ラスト近くの僧正遍照の章で何だか妖しい方向に行っちゃうのかと心配になったのに、ちゃんと清々しい読後感になっているしと、初読みの作者さんだったが、まんまと策にはまった感じ←良い意味で!紀貫之や古今和歌集についての後世の評価の低さを逆手に取っているのも面白かった。紀貫之も「こっちの意図も知らずに、ハッハッハー」ってあの世で思っているかも。あと在原業平→

2019/02/14

katsubek

解説に曰く、「古代に材を得た作品」。正確を期すなら、「古代」ではなく、「中古」というべきか。いずれにせよ、たいそう興味深く読めた。和歌や物語としては知ってはいるが、それを小説として綴られると、登場人物の息吹が身近に感じられる。歴史のなかに埋もれてしまった事件や人物を、生き生きとよみがえらせることを可能にしたのは、紛うことなく、作者の緻密な計算に基づく構成に他ならない。解説にも述べられていたように、作者のこのタイプの物語を、是非とも続けて読んでみたいと願う。

2018/09/07

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