天空の約束 (集英社文庫)
天空の約束 (集英社文庫) / 感想・レビュー
rico
天候を予知する一族。常人にはない力ゆえに、恐れられ利用され忌み嫌われるという設定は、そう珍しいものではないけど、不思議な雰囲気の物語。たんぽぽのお酒のきらめき、風や大気の動きなど、美しい描写が印象的です。過去と現在を行き来しつつ、壮大なストーリーが展開されていくのですが、伏線が回収しきれずモヤモヤ感が残りました。好みの設定だけに残念。続編はないのかしら。
2017/12/11
Hepatica nobilis
これは良かった。捉えがたい『雲の一族』のたどった過去の足跡をたどる。戦時中、周囲に忌み嫌われながら戦争に協力させられる一族の闇の歴史が明るみになる。幼い子供たちを隔離監視する学校で、新任の女教師の目線で周囲の村人たちの差別と憎悪。現代の一族は過去の苦い経験から身を潜めていたり、能力への自覚さえも乏しくなっている。眠り姫や雲のアーチスト、『微気候』を操る建築家。この一族の物語をもっと読んでみたいと思った。その点書き込まずにあっさりしすぎているのがこの作者の欠点であり長所。
2019/12/11
すいそ・はいどろ
「雲の王」の続編として書かれた本だそうですが、本ネタを知らなかったという迂闊さのわりには、なかなかおもしろかった。気象ファンタジーSFというか、空と雲、地球上の水循環という壮大なシステムを物語りとして語ろうという努力はなかなかのスケールです。ちょっと情緒的すぎるかなあと思わないでもないですが、テーマは好みです。初読みの作家さんで当たりだとうれしいもんです。
2017/10/27
一五
天気の動きが見える人々。戦時中の話もかかわり 今に続く。なかなか。地元(奈良)は、天気は西から変わってくる😄
2019/11/07
yamakujira
微気候研究者の八雲は、雲のアーティストのかすみ、夢で天気を予報する早樹、彼女たちとの出会いから空の一族の存在を知り、預かった小瓶に導かれるように訪ねた酒蔵で一族の歴史に触れる。能力が誤解されて怖れられ疎まれ利用された過去、だから能力を秘めて暮らす現在、自分の能力を知らずにとまどう若者、この手の話には定番の設定だし、主人公の八雲が流されるままラストを迎える物語は、なんだか消化不良のまま終わってしまった感じだ。八雲に大きな使命が課されたかと思ったのに、彼の役割は語り部にすぎないのか。 (★★★☆☆)
2019/05/28
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