とるにたらないものもの (集英社文庫)
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とるにたらないものもの (集英社文庫) / 感想・レビュー
アン
江國さんにとっての愛おしいものやちょっと気掛かりなもの、身の回りの60について綴ったエッセイ。共感したり、思わず笑みがこぼれたのは、ケーキ、下敷き、運動靴、仕度、結婚式、ピンク、固ゆで玉子、りぼん…。日常生活の中で当たり前のように存在するものや埋もれそうな記憶、そういったものへの繊細で柔らかな眼差しは、甘やかで懐かしさを覚えます。憧れ、心細さ、つつしみ、安心感。それは、宝もののよう。足早に過ぎる日々の中、たまには立ち止まって心を休ませ、「とるにたらないものもの」を見つめるのも素敵な時間かもしれませんね。
2020/01/15
優希
江國さんのショートエッセイです。とるにたらないけれどかけがえのないものについて思うことをやわらかい言葉でつづられていました。好きなものだけでなく、嫌いなものも中にはあるけれど、江國さんは色々なものを江國さんの色彩で見ているんだと感じました。個人的な趣味が出ているのも面白いです。何気ないものも愛おしく見えます。自分の身の回りのものを自分はどう思って見ているのか、ちょっと考えさせられました。
2015/11/25
卵焼き
図書館本。江國さんの本は、はじめてです。レモンの絞り器などの作者のエピソードが書いていて、とても面白かったです。
2021/12/02
セウテス
何かにつけて良く読む作家さんなので、本作も既にボロボロ、新しいのが欲しい。「食前酒と食後酒」などは、私が経験したそのままではないか。「フレンチトースト」で、私も社会人成り立ての時の恋愛を思い出す。アメリカに居るとき、やはりフレンチトーストにベーコンがついてきて、私は今でもベーコンが苦手だ。「推理小説」も、謎解きへの取り組み方は違うのだが、私も自分が望まない出来事に接しない様に、逃避していると感じている。この人の作品を読むと、あの時心が動いた遠い記憶が思い出され、何とも気持ちが良い。よって、また読むだろう。
2018/11/24
エドワード
私は無役なものが大好きな性分である。音楽やら美術やら、映画やら博物館やらが大好き。オマケも大好きで妻に嫌がられている。世の中が平和につつがなく保たれていくには、無役なもの<とるにたらないもの>が大事だ思いませんか?そんな私には江國香織さんは長年の同志に思える。きれいなケーキも、駅舎も、結婚式もとるにたらないもの。食後酒で余韻を楽しむ。何と素敵な言葉。私の勤める音楽ホールには余韻を楽しむ回廊があるのだが、これが無駄だという人がいるんだよ。だが「余韻を味わう機能がある」という説明も違うんだな。世の中は難しい。
2014/06/23
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