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永遠の放課後 (集英社文庫)

永遠の放課後 (集英社文庫)

永遠の放課後 (集英社文庫)

作家
三田誠広
出版社
集英社
発売日
2006-06-28
ISBN
9784087460520
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永遠の放課後 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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HIRO1970

⭐️⭐️⭐️三田さんはまだ2冊目ですが、前回子供の本棚から借りたいちご同盟がかなり良い本だったので深掘りしてみました。こういう作品を読むと心が洗われるような感覚すら覚えます。殺人やどぎついエロスが無くてもよい作品は書けるんだと今更ながら教わったような気がします。何と無く世の中にはアメリカ風なアホでも意見をタタカワスのが良いような無駄な情報の氾濫が横行していますが、こういう繊細で微妙な表現やピュアな感情の移ろいが表現された本に出逢えると日本語を母国語として生まれて来たことに喜びを禁じ得ません。オススメです。

2016/01/16

zero1

人は同じ所にはいられないし、いるべきではない。それは停滞を意味するからだ。でも友人を傷つけたくないし、今までの関係を壊したくない。二つの三角関係と疑似恋愛を描く、芥川賞作家による青春小説。歌手だったヒカルの父親は行方不明。転校した中学で音楽を通じて紗英や杉田と友人に。高校が別になり大学の軽音楽サークルで見出されたヒカル。あるグループの復活コンサートで出演することに。口に出せない想いがどう結実するのか?もし自分がヒカルや杉田なら何を選ぶ?

2019/02/21

NADIA

常に音楽の中にありながら、なんとも静寂間の漂う物語。そして登場人物のすべてが三角関係なのに、妙に清潔感が感じられる物語。プロの歌手を父親に持つ主人公が成り行きであっさりプロになる過程は「こんなに簡単なものじゃないよ!!」とミュージシャン志望の人は言いたくなるかもしれない。表には出ないけど猛烈に練習したのかもしれないが、その辺りはあまり感じられなかった。まあ、テーマはそこじゃないから別にいいか。読みやすく読後感も悪くない。

2019/10/09

エンリケ

友情か愛情か。いくつかの三角関係が微妙にリンクし、物語の主題となっている。何処かで人生に諦観していた主人公が二人の男女と音楽と出会う事で人生が変わる。彼にとって親友は眩しい存在で有り、その想い人との間にはバリアを張っていた。つくずく切ない青春だが、ふとしたきっかけからミュージシャンとして注目を浴びる。ここに及んでお話は意外な展開。天性の歌姫も絡んで来て目が話せなくなる。親友との関係は逆転し、秘めた想いをもて余す主人公。でも彼にとっての幸いは周囲の大人達が親身に導いてくれた事。王道の青春物語を満喫出来た。

2016/12/27

共感することなく、感動することなく、ただ読んだ。読み続けた。これは小説だと思った。言葉だけでここまで読ませる。そこに余計な感情は一切ない。心の疲れている時に、この静けさがありがたい。何も考えず、私はギターを弾き、友と語り、報われない恋をし、お酒を飲み、音楽というものに取り憑かれる。それが自然の摂理だというかのように。母子、男友達、三角関係、心の壊れたバンド仲間、複雑な人間模様なのに、それが綺麗だと思うのはおかしいだろうか。この空気の中に、私はいない。それでいい。感じることのできないものを、見られたから。

2015/01/12

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