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漂泊の牙 (集英社文庫)

漂泊の牙 (集英社文庫)

漂泊の牙 (集英社文庫)

作家
熊谷達也
出版社
集英社
発売日
2002-11-20
ISBN
9784087475135
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漂泊の牙 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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いつでも母さん

読友さんのレビューに誘われて。アレ?なんだか読んだような・・と思いつつ一気に読了。柴田哲孝氏の『WOLF』だ。こちらの作品が先か!自然界に生きる人間が動物と共存出来るか?人間の都合によって絶滅したり間引かれたりする動物たち・・弱肉強食、自然界の生態系を、その頂点に立っていると思っている人間のなんと驕っている事か。と、この作品でも云われているような気持ちだった。幾重にも張り巡らされた糸で、最後まで飽きさせない。孤高の城島よ、どうか娘・彩佳と穏やかに暮らして欲しい。

2015/10/20

ぶち

雪深い東北の山奥で主婦が野犬とおぼしき獣に喰い殺されるという凄惨な事件が起こります。絶滅したはずのオオカミを目撃したという噂も流れ、犠牲者も増えていってしまいます。愛妻を殺された動物学者が必死の追跡を開始するというミステリー仕立てです。厳冬期の山の雰囲気が臨場感をもって語られているのは、いかにも山を愛している著者らしいです。しかし、読み進むにつれ、なんとも遣り切れない気持ちになってしまいました。神に反して自然の掟を破り、オオカミと犬とを掛け合わせるとは.....人間の欲望だけのこの所業は狂気です。

2020/09/15

miyumiyu

これも凄かった。次々と惨たらしく食い殺される人間たち。オオカミの仕業なのかそれとも…。熊谷さんには珍しいミステリー仕立てになっていて、それも楽しめた。獣との対峙場面は圧巻。凄まじい臨場感に、恐怖で凍り付きながらもページを捲る手が止まらない。先に読んだマタギやクマ、そして本作のオオカミも、本来自分には興味がない。なのに、どれも引き込まれてほぼ一気読み。熊谷さんの文章には、自然への畏敬の念が深く込められている。厳しく神聖で、そしてその自然に挑む無骨な男達にどうしようもなく魅了されるからだろうか。

2016/09/15

Shinji Hyodo

絶滅したはずの『ニホンオオカミ』の仕業なのか?愛する妻をその鋭い牙で無残な姿に変えられた動物学者『城島』の追跡が始まる。雪深い山奥に潜むのは本当にニホンオオカミなのか、その姿に似た凶暴な野犬なのか…次々と襲われる犠牲者に不審を抱く刑事。オオカミの姿を捉えスクープをものにしようと同行取材を申し出るジャーナリスト恭子。雪上に残る足跡を追い超然と山に分け入る孤高の存在かのような城島にも実は暗い過去が…北国の山深くには様々な野生動物が生きておりそれに伴う信仰や言い伝えや人々の畏怖の念が今も息づいているのだろうか…

2016/01/14

chimako

ニホンオオカミは1905年に捕獲されたのを最後に生きている姿は確認されていないらしい……オオカミ研究者城島の妻康子が何者かに襲われ、足首を食いちぎられ腹を食い散らかされて死亡した。城島は感情を押さえ込み妻の写真に観いる。何に襲われたのか、熊か野犬かそれとも・・そこに絡むのはドキュメンタリー制作のディレクターと腕利き刑事。オオカミ探しと殺人事件の両面から真実に迫ろうとする。妻の仇を取るべく動き出した城島に迫る驚きの真実。人の欲が生み出した可哀想な獣たち。漂泊の民が崇めたのは気高い狼。漂いさ迷うのは獣か人か。

2021/08/30

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