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薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

作家
江國香織
出版社
集英社
発売日
2003-06-20
ISBN
9784087475852
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薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

9人の女たちそれぞれの日常と恋を描く。視点が目まぐるしく変わるのだが、そこにこそ本書の特質と小説としての面白さがあるだろう。しかも、それぞれの恋は概ねそれとは知らずに微妙に錯綜したりもしている。そこがまたいいのだが。ただ、男である自分から見れば、どうして土屋があれほどモテるのか理解に苦しむところだ。また、慎一にしてもしかり。つまるところ、登場する男たちの誰にも魅力を感じないのである。では、女はどうか。道子が言うように「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいる」のであり、ひたすらに能天気な陶子⇒

2019/05/20

優愛

「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい」今一緒にいる人ももちろん愛しているけれどそれとは違う、時間の止まったままの恋がここにもう一つ。色彩の表現、何気ないティータイム、お気に入りの場所。すべてに詩のように美しい情景が見える江國さんのこの独特な世界観が好き。散りばめられた言葉の一つ一つを胸に留めておきたくなります。きっと曖昧な結末こそがこの小説を引き立てる。琵琶の様に甘く檸檬のように酸っぱい、それでいて薔薇のように美しい空気感に永遠に浸っていたい。陶子の生き方が個人的には好きですね。

2015/01/23

優希

恋って不思議だなと思わずにはいられません。9人の女性たちの恋愛は大胆でいて様々な感情を起こさせました。日常の中に恋を落とし込み、優しく、憂うように描かれ、交錯していく恋。主人公は誰一人としていなくて、誰もが主人公でもある。その背景にある風景は時に美しい色彩を持ち、時にモノクロになるような感じがしました。さらさらと流れるような世界に入り込むのが心地よかったです。オムニバス映画を見ているような感覚になりました。

2016/05/11

アン

江國さんらしい結婚と恋愛をめぐる小説。愛犬と穏やかそうに暮らす主婦の陶子、花屋を営み離婚を考えるエミ子、陶子の親友で編集者のれいこなど、登場する9人の女性たち。結婚生活、家族関係、仕事、恋愛に関する日常における人間模様。誰もが抱えそうな孤独や矛盾した気持ちが繊細に表現され、いつの間にか自分と重ね合わせ想いを巡らせてしまいます。彩りのあるお料理や季節の花々に囲まれた暮らし方なども、江國さんの小説を読む楽しみのひとつです。「エネルギーがあるから恋愛をするわけではなく、恋愛がエネルギーを産むのだ」

2020/04/20

aoringo

九人の女性たちの結婚生活や恋愛について様々な角度から描いた作品。不倫、長い片思いなどあまり感情移入はできないのにすごく惹かれるのはなぜだろう。ハイソな人達のゆとりある生活に憧れているだけかな?でもうん、いつもの洗練された文章と巧みな心理描写を楽しめました。やっぱり江國さんの作品にはずれなしです!女性、男性、それぞれに個性があるからドラマになったら面白いかも。

2022/09/28

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