KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

山背郷 (集英社文庫)

山背郷 (集英社文庫)

山背郷 (集英社文庫)

作家
熊谷達也
出版社
集英社
発売日
2004-12-16
ISBN
9784087477641
amazonで購入する Kindle版を購入する

山背郷 (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

miyumiyu

「邂逅の森」に魅了されて、熊谷達也さん2冊目。とにかく情景描写が素晴らしい。昭和初期の東北を舞台に、厳しく過酷な自然と、そして自分自身と向き合う、無骨で一生懸命な男達の姿が心に残る。特に良かったのは「潜りさま」と「旅マタギ」。長編のような読み応えで圧巻だった。海に山に生きる男達の、命を賭けた凄まじいまでの生き様に引き込まれる。「メリィ」と「お犬殿」のオオカミの話、「艜船」と「川崎船」の微笑みと涙が入り混じるラスト。どれも、壮大で厳しくて、そして温かくて美しい。この余韻に浸りたくてずっと読んでいたい。

2016/07/07

chimako

厳しく重く温かい短編集だった。容赦のない厳しい自然を相手に真摯に暮らす名もなき人たち。例えば海の底で、例えば雪深い森の中で、冷たい波間で、絶滅したと言われる獣を追い、獲るなと言われた熊を追い、見果てぬ夢を氷壁に託し、川を昇り、魚を追い、あるものは生き残りあるものは命絶える。外から見れば厳しいだけの暮しだが、そこには喜びも嬉しさも愛しさもある。自然と交わす情、獣と交わす情、人と交わす情もある。良い本を読みました。

2017/07/04

アッシュ姉

★★★★★熊谷さんの原点が凝縮された傑作短編集。昭和初期の東北を舞台に、時代の荒波と過酷な自然を相手に懸命に生き抜いた人々の物語。終戦前後の混乱と貧困のなか、命を賭した生業に情熱を傾け、家族への愛を胸に、誇り高く生きた男たちの矜持に心を揺さぶられる。圧倒的な情景描写、緊迫感あふれる場面展開、短編とは思えぬ濃密な読み応えに一つ一つ食い入るように読んだ。惹きこまれる東北弁のリズム、見知らぬ職業を追体験できる臨場感、深い余情に浸れる結末に感動と興奮につつまれ読了。これはオススメ。

2016/06/20

つねじろう

9編の短編です。とても良いです。それぞれ肝っ玉と腕力を積み重ね磨き上げた技とこころの持主の男達の登場です。彼らが対峙するのは過酷な東北の自然、荒海に嵐や吹雪に熊に狼です。そう彼ら東北の男はペラペラ軽薄に喋ったりしません。朴訥、寡黙、黙ってサッポロビールなのです。そして決して諦めず必ず結果を持って来るプロの背中を持ってます。どうです惚れちゃうでしょ。あ、それに男前のお母ちゃんに犬?のメリイも良いよ。地面にしっかり足が着いた生活の匂いや厳しさがあります。ホロっとさせられたりジンと来たり楽しい時間過ごせました。

2017/04/07

はつばあば

熊谷さんの本を読むと「お~!男とはこのように愛する家族の為に戦っている!」と力強い男に憧れ、芦原さんの本では女性のしっとりした逞しさと男のほんわかさ。さてどちらがいいか・・とか考えられないが、両方を兼ね備えた男はいないかと書いたら、女も淑やかでしっかり家を守ってと反論されそうだ。2002年に書かれたこの作品が基となって邂逅の森になっていくが、「メリイ」「ヒラタ舟」「川崎舟」は別の味と良さに惹かれた。婿に熊谷さんと芦原さんの書かれる男はどう?と聞いたら、今日の男は共稼ぎでないとやっていけないと言うだろうな

2015/05/11

感想・レビューをもっと見る