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青猫 萩原朔太郎詩集 (集英社文庫 は 15-1)

青猫 萩原朔太郎詩集 (集英社文庫 は 15-1)

青猫 萩原朔太郎詩集 (集英社文庫 は 15-1)

作家
萩原朔太郎
出版社
集英社
発売日
1993-04-15
ISBN
9784087520408
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青猫 萩原朔太郎詩集 (集英社文庫 は 15-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

近代象徴詩の嚆矢にして、その頂点を極めたのが『月に吠える』であった。朔太郎は自らの詩を「遠い遠い実在への涙ぐましいあこがれ」だというが、そうした感情を詠いあげるのは象徴詩においてこそ可能であった。6年後に朔太郎は『青猫』を世に問うが、こちらもまた同様の意味において象徴詩である。ただ、その詩的情調においては違いを見せる。再び朔太郎の言葉を借りれば、それは「思索的鬱憂性」ということになる。篇中の詩のいくつかはこれを強く表象するが、例えばそれは「鶏」で詠われる「とをてくう、とをるもう、とをるもう」の響きである。

2013/02/15

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0 萩原朔太郎にとって詩とは「意志の解脱であり、その涅槃への思慕を歌ふ郷愁」であった。

2021/02/17

(C17H26O4)

朔太郎の詩を一度にたくさん読むのはおそらく初めて。良かった。記憶にあるいくつもの詩に出会ったが、詩集の中で読むことで違う味わいとなった。苦悩感や絶望感を纏ってオノマトペも意味を増すように感じた。「おわああ」猫の鳴き声。「のをあある」犬の鳴き声。「じぼあん・じやん! 」柱時計の響。「ぶむ ぶむ」これは蠅。また、しつこく繰り返し羽ばたく「てふ」の二文字。孤独や憂鬱と共にどこか諦めの甘い余韻も感じた。『月に吠える』の中に好きなものが多かった。この装画も好き。

2021/10/07

たーぼー

自由詩の真実が明かされる付録・『自由詩のリズムに就て』は驚愕たる文体もさることながら、そのナイーブかつ確信を持った論考に唸らされる。萩原は「パッションの人」に属さない一方、詩への従順さと謙虚な行為の内に雄弁さを備え、唯一無二たるセンチメンタリズムを編み出したことは想像に易い。もっとも私としては疲労した心臓で、空虚な頭で、感じたものをシンプルに受け入れたいところ。一人夜の陰鬱な部屋で聴くモダンジャズの如く只々惹きつけられる珠玉の数々。-ああ このおほきな都会の夜にねむれるものはただ一疋の青い猫のかげだー

2015/09/30

Mishima

先に読んだ「猫町」が印象深かったのだけれど、版画絵がそれを凌駕する勢いだった。テキストのみで読んだなら、萩原朔太郎は如何なものか、を知りたいため手に取った。この時代のナマナマしい言葉たちがやはり心に響く。何にも包まれていない裸んぼの、体から皮を破って突き出してくるような心の芽が、痛くて、なおかつ、清々しい。醜い腐乱物も野に咲く可憐な野草も男女の交合も猫の夜目も、、、ひっくるめて絡まって、ああ、今日も生きている。

2017/04/06

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