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パールストリートのクレイジー女たち (集英社文庫)

パールストリートのクレイジー女たち (集英社文庫)

パールストリートのクレイジー女たち (集英社文庫)

作家
トレヴェニアン
江國香織
出版社
集英社
発売日
2018-05-18
ISBN
9784087607499
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パールストリートのクレイジー女たち (集英社文庫) / 感想・レビュー

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Tetchy

2005年に亡くなった覆面作家トレヴェニアンの遺作。彼自身の回想記のような自伝的小説だ。生きている間に少しでも多くのことを語り、記録しようとしたのか、改行が非常に少なく、文字でぎっしりと埋め尽くされており、取り留めがない。こんな自伝的小説を作者はなぜ書いたのか。それは彼が覆面作家だったからではないか。作品は知られているが、その実態を知られていない彼が、最期に自身を作品にしたのだ。覆面作家の厚いヴェールの下に隠された人生。彼の作品の一読者としてけじめをつけるために読むべき作品だと読み終わった今、そう思う。

2019/01/27

秋良

表紙は単行本の方が好み。大恐慌とWWⅡの時代、ペテン師の父に捨てられニューヨーク州オールバニのスラムで暮らす、作者の自伝的小説。愛情深いけど好戦的になると手がつけられない母、ポテンシャルはあるのに不器用な生き方しかできない義父、人間の不完全さと人生のままならなさがスラムの悪臭や古い家具の軋みと一緒に立ち上がる。倹約するのは倹約できる余裕があるからで、貧乏人は単調な人生に気晴らしが必要だという考察に納得した。確かに希望がなきゃ貯金なんてしない。

2022/09/21

Saki

恐慌から第二次世界大戦に向かうアメリカのスラム街を舞台にしたお話。貧しさ、戦争、そういったものでクレイジーになってしまう女性たちが描かれているのだけど、自分が女性だからか、ここに登場する男性も十分「クレイジー」に映る。 全体的に貧しい描写が多いので暗い。主人公もいじめられたり必死に働いたりと苦労が絶えない。だからこそ、お金を分割で払って手に入れたラジオとか、靴磨きで貯めたお金で母に贈ったティーセット、日常のちょっとした贅沢品についての描写は温かくてそこだけ明かりが灯ったように明るい。その対比も美しい作品。

空飛び猫

貧困層に生きること。 親からの自立。 夢や希望の持ち方。

2018/11/17

Inzaghico

伊達男で詐欺師の父と、それに(悪く言えば)ひっかかったエキセントリックな母という手強い両親に生まれた僕とアン=マリーのまっとうさが際立っている。幼いうちから母の右腕であり、ベストバディとならざるを得なかった僕は、母の「船」になることを拒み、自分の「船」になることだけを目指し、日々必死で生きていく。 最後に、家族ひとりひとりのの船はちゃんと来た。

2018/08/16

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