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母性のディストピア

母性のディストピア

母性のディストピア

作家
宇野常寛
出版社
集英社
発売日
2017-10-26
ISBN
9784087711196
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母性のディストピア / 感想・レビュー

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みのくま

本書はとても精巧に作り上げられた砂上の楼閣だ。宮崎駿、富野由悠季、押井守らの作品を批評的に解釈し、著者の持つ独自の世界観を「補強・補完」している。つまり本書は「作品批評」ではなく、宇野常寛の見えている世界を表現するためだけに戦後の日本アニメが使われているのだ。彼の持つ世界観は、夫=子を支配しようとする母性を嫌悪し、母からの承認で父性を回復する男を嫌悪する。安易な物語(家族、国家、恋愛、成熟)を拒否し、それに付随する自意識を嫌悪する。世界の全ては情報の集積として処理し、興味や面白さ(=市場)で行動すべし。続

2017/11/25

姉勤

宮崎駿、富野由悠季、押井学。いまや世界に通じる著名なアニメーション作家である彼らの作品群から、戦後表立って語られることを忌んで来た「政治」や「戦争」そして「独立」についてアニメという形で世に出した、彼らの創り出すドラマや物語に現実を反映させ、もしくは回避させていた団塊ジュニアとその周辺の世代が、永いモラトリアムの中で歳をとってしまった事。そして彼らを魅了した、時代を洞察し映像化した才能、「映像の時代」に開花した事が、逆に現在の「情報の時代」に人心が仮託できる映像を世に出せなくなっていると指摘する。

2019/09/30

梟木(きょうぼく)

宮崎駿、富野由悠季、押井守。戦後アニメの巨匠として知られる監督たちの経歴を辿り直すことによって、日本という国家の欺瞞と近代的「成熟」の不可能性を明らかにする。現時点における著者の集大成というべき、包括的な大著。永久に「子」を母胎に留め置くことによって「父」としての成熟を不可能にする、戦後日本の想像力を支配する呪いのような力学――作者はそれを「母性のディストピア」と呼ぶ。そこから導き出されるのは、もはや凡庸なアニメ論ではありえない。「母」に挑んでは敗北を繰り返す、戦後アニメを支えた男たちの壮大な「偽史」だ。

2018/02/02

Fancy Koh(旧SMOKE)

戦後日本の欺瞞をアニメを通じて論じた大作。面白い。アニメという市場に影響されやすい分野だからこそ、その時々の大衆のメンタリティがもろに影響される。ロボットアニメの終焉は、戦後民主主義の終焉であるし、その後、「ヤマト」「ガンダム」「エヴァンゲリオン」以降世間を揺るがすエポック的なロボットアニメがないのは、まさに筆者のいう通り「失われた二十年」のもがきそのものなのだろう。アニメ好きではなくても、ヒステリックなイデオロギー論争に嫌気がさしている人は面白いと思う。

2017/11/25

元よしだ

読了~むずかしかったです。 著者の他の作品を読んで、またこの本にもどってきます。 キーワード→「風立ちぬ」の堀越二郎とカプローニの対比?? そして以下引用 富野由悠季のインタービューより「アニメの表現はものすごく高性能。」→アニメの性能とは、作家の意図したものしか画面に存在できない。作家が意図したものは全て画面上に表現できる。この性能を駆使して、異なるリアリズムを一つのカットの中に混在させる。この演出が実写映画以上の高い解像度をもった描写を支えている。

2018/06/08

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