早朝始発の殺風景
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「早朝始発の殺風景」のおすすめレビュー
男ふたりで観覧車に乗っているワケを見破れるか!? 斬新な形の密室ミステリー
『早朝始発の殺風景』(青崎有吾/集英社)
新年早々、一風変わったミステリー小説が発売された。青崎有吾氏の『早朝始発の殺風景』(集英社)だ。おおざっぱに説明すれば、本作はいわゆる“日常の謎”を解き明かす高校生たちの青春ミステリーなのだが、そのシチュエーションが抜群におもしろい。
収録されている5つの短編は、どれもが“場面転換なし”かつ“リアルタイム進行”で展開していく。そして、会話中にふと“違和感”に気づいた高校生たちが、その場にある限られたヒントだけで推理を行い、最後にはその結末を受け入れる…。物語の舞台となるのは、早朝の始発電車や放課後のファミレス、あるいは観覧車のゴンドラの中などなのだが、それぞれが青春の香りがする「密室」となっている。
■人気の少ない始発電車、男ふたりで乗る観覧車…一風変わった「密室」ミステリー
表題作「早朝始発の殺風景」は、収録作の中でもひときわ凝った構成だ。ある朝、加藤木が始発電車に乗ると、クラスメイトの殺風景(さっぷうけい、という苗字の女の子)がいた。こんなに早く登校したところで、校門が開いているはずもない。そこから…
2019/2/13
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早朝始発の殺風景 / 感想・レビュー
へくとぱすかる
カバーの色調が、そのまま読書中、読後のクオリアみたいな本。どの話もそれなりに「青春」なのでしょう。それを一言で言い表すキーワードが「気まずさ」であり、「密室」であったということか。伏線が見事というか、期待していたようにしてやられるので、「そうだったのか!」と何度も心でつぶやいた。一見意味のなさそうなところに意味を発見するのは観察力だということだろう。
2019/03/07
kou
何気ない会話から展開していくのが面白かった。第1話を読んだ時、日常系ミステリーからバイオレンスになっていくのかな(汗)と、少し思ったが、どの話しもホッコリした終わり方で読後感も良かった。そして、エピローグで繋がっていき、登場人物達のその後が描かれていおり、嬉しく感じた。
2019/11/02
青乃108号
「殺風景」を女子高生の名字にしてしまうセンスがまず凄い。クラスは同じだけどお互い話した事がない殺風景と、早朝始発の電車で乗り合わせる事になってしまった男子の気まずい気持ちと、でもこの状況をなんとかしたい男子のぎこちなさと対照的な殺風景の飄々とした振る舞い。良く書けてるなあ。登場人物二人だけ、舞台は車両の中だけ、でもちゃんとミステリーになってるし。その他の短編もいずれ劣らぬ出来映え。エピローグも再度、殺風景と各エピソードの主役が集まり綺麗にまとまって、爽やかな印象を残す。秀作だと思います。
2024/03/01
寂しがり屋の狼さん
久しぶりの『青崎有吾』さん📕以前に読んだシリーズ物が面白く、他の作品も読みたくて手に取りました(◕ᴗ◕✿)コチラは高校生の日常を上手く切り取った短編集📖どの話もテンポが良く読みやすく、登場人物の洞察力が凄い!読後は人間観察をしたくなちゃった(笑)🕵♀エピローグで全ての物語が繋がるのも余韻を楽しめてよかったです。
2021/11/30
nobby
思わずつぶやくのは某CM「アオハルかよ!」(笑)始発列車・ファミレス・観覧車など高校生ならではの場面一つに絞ったワンシチュエーションを描く40頁程の短編5つ。中高一貫男子校の落ちこぼれだった自分に既視感は全くないが、ぎこちなくも清らかな風景感じるのは心地よい。いつのまにか謎解きが始められるのも、ちょうどいい感じ♪平坦に終わるかと思いきや、ロジック満載で意外な着地点に導くのは、さすが平成のクイーン本領発揮。エピローグで軽く人物総登場させる演出はまさにエンドロール。それにしても一番の衝撃は殺風景の真実だけど…
2019/04/28
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