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カモフラージュ

カモフラージュ

カモフラージュ

作家
松井玲奈
出版社
集英社
発売日
2019-04-05
ISBN
9784087711813
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「カモフラージュ」のおすすめレビュー

発売即日で重版!松井玲奈のデビュー作『カモフラージュ』を、読書家たちはどう読んだのか

『カモフラージュ』(松井玲奈/集英社)

 4月5日(金)に発売された、女優・松井玲奈さんによるデビュー短編集『カモフラージュ』(集英社)。発売即日で重版がかかるなど、その反響は凄まじく、映像化を期待する声もあがっている。

 本作は6編の物語を収録した短編集だ。紡がれているのは、叶わぬ恋に苦しむOLを描いたラブストーリーから小学生男子が遭遇する怪異をテーマにしたホラーまで、実にさまざま。すべてが一人称で綴られているが、その語り口に違和感は一切ない。等身大の女性はもちろんのこと、子どもや大人の男性をもリアリティをもって描く松井さんの筆力に脱帽する。

 それぞれの物語に登場する主人公の立場や属性はバラバラだが、唯一共通するのは「食べ物」が印象的なモチーフとして描かれているということ。それらは彼への想いを伝える小道具として登場したり、不気味なストーリーを際だたせるために描かれたり、いずれにしても作品の世界観を確立するために効果的に使われている。「食べる」という行為は「生きること」でもあり、グロテスクな行為でもある。ひとつの行為を多角的に分析し、物語に落とし込…

2019/5/25

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女優・松井玲奈のデビュー短編集『カモフラージュ』の魅力とは? ホラー怪作からエロティシズムに満ちた一編まで!

『カモフラージュ』(松井玲奈/集英社)

 NHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演していた女優・松井玲奈さん。これまで、型破りなストーカー女子や鉄道オタク、ミステリアスな売れっ子女優など、実にさまざまな役柄を演じてきた。カメレオンのようにありとあらゆる表情を見せてきた松井さんを支えているものは、独自の観察眼なのではないか。それを裏付ける材料となったのが、4月5日(金)に発売された、松井さんのデビュー小説『カモフラージュ』(集英社)だ。

 本作は6編の小説を収録した短編集。恋愛に思い悩むOLからメイド喫茶で働く18歳の女の子、イマドキの男性YouTuber3人組に、怪現象に怯える小学生男子まで、主人公となる人物の属性は幅広い。しかも、すべてが一人称で綴られており、キャラクターや目線の違いが見事に書き分けられている。

 たとえば、「ハンドメイド」で描かれるのは、彼女がいる上司との恋に苦しむOLだ。お弁当作りを日課としている彼女が、上司の前で“女”になれるのは、ホテルの一室で、だけ。会える日にはお弁当を作り、ラグジュアリーな空間で同じものを食べる。その一方で…

2019/4/13

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松井玲奈「変わったフェチを持った人が出てきたら面白い」――初の短編集『カモフラージュ』執筆秘話

 現在役者として活躍中の松井玲奈が、初の短編集『カモフラージュ』を出版。昨年、『小説すばる』で発表した『拭っても、拭っても』を含む、恋愛モノからホラーテイストまで、バラエティに富んだクセありの6編を収録。小説家としての一歩を踏み出した彼女に、作品への思いや執筆時のエピソードを語ってもらった。

■人間って誰でも化けの皮を被ってると思うんです

――まず、小説を書くことになった経緯から教えていただけますか?

松井玲奈(以下、松井):文章を書くことは元々好きで、その中でも、エッセイは自分に合ってるな、と思っていました。ただ、小説を書きたいという気持ちは全然なかったんです。想像もしてませんでした。私の文章を読んだマネージャーさんが、小説を書かせたら面白いんじゃないか、と思ってくれたみたいで、水面下で小説の話が進んでいて。書いてみない? と言われたのが、去年の5月ぐらいです。経験がない未知の領域なので、不安が大きかったんですけど、「松井なら書けるかもしれない」と思って背中を押してくれたので、出す出さないはともかく、まずは挑戦してみようと思い、書き始めました。

――…

2019/4/10

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カモフラージュ / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

元SKE48&乃木坂46の松井 玲奈の処女作ということで読みました。ヴァラエティに富んだ短編集、元アイドルの肩書がなくても評価されそうな新人女性作家の佳作です。私小説的でなく、創作小説なところも評価出来ます。オススメは、『ハンドメイド』&『完熟』&『拭っても、拭っても』です。次回作も期待しています。

2019/05/11

nobby

この人の書く文章は実に素直に頭に入ってくる。“食”に絡めた6短編だが、まずは若き女性ならではの横恋慕や体型コンプレックス、絆創膏へのトラウマなんて心情が非常に切なくも心に染み入るのが印象的。それが最後には“自分”を思い出し奮い立たせ、しっかりと前に進む結末にもホッと出来る。その一方で、とても同じ人が描いたとは思えないほどのグロさや官能を垣間見れるのには驚くばかり!個人的には、驚愕の展開から重なる想像で、もう普通にパンに塗るのも恐ろしい「ジャム」と、桃への執着なエロさにゾクゾクする「完熟」がたまらなかった…

2019/08/15

パトラッシュ

人は誰も生き辛さを抱えながら、社会に適合したように装っている。周囲に気取られぬようにしていた化けの皮が剥がれたら、日々の生活に紛れていた苦い負の感情が露出してくるのだ。6編とも大きな事件やドラマはないが、どんな人間にも不可欠な「食」がきっかけでカモフラージュが暴かれていくプロセスが面白い。一時期はやった「奇妙な味」の小説に似ているが、それらにあった皮肉やブラックユーモアが感じられない分新しい味を出している。日常を切り取って小説化する筆力は見事だが、文体に癖がなさ過ぎて淡々と読めてしまうのが物足りなかった。

2021/04/20

ウッディ

元SKEの松井玲奈さんの短編小説集。バラエティに富んだ内容で、文章も上手で読みやすかった。とは言え、「元アイドルの」という修飾語が付きまとう一冊でした。彼女のいる男性に手作り弁当を用意する2番目の女の悲しさを描いた「ハンドメイド」は、2番目というSKEでの彼女の立ち位置を表しているのか?や、桃に齧り付くフェチズムを描いた「完熟」は、大勢のグループの中で目立つための独特の嗜好を表しているのか?など‥。カモフラージュせず、自分の内面を表した小説を書く時、一皮剥けた作家松井玲奈が誕生するような気がします。

2019/12/01

美紀ちゃん

あんなに美しく可愛いアイドルの松井玲奈さんからこんな「ジャム」みたいなすごい作品が出てきたことに驚く。この話はグロくて絶対に映像化できないレベルでやばい。 「完熟」はとてもエロいい。 「リアルタイム・インテンション」は勢いがあって面白かった。 短編集6作どれも面白い。松井玲奈すごい。累々も楽しみ。

2021/03/08

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