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土に贖う

土に贖う

土に贖う

作家
河崎秋子
出版社
集英社
発売日
2019-09-05
ISBN
9784087712001
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土に贖う / 感想・レビュー

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しんたろー

『颶風(ぐふう)の王』以来の河﨑さん。北海道を舞台に様々な産業の隆盛と没落の推移と関わった人々の物語が7つ…養蚕の『蛹の家』、ミンク毛皮の『頸、冷える』、ハッカ農家の『翠に蔓延る』、羽毛の『南北海鳥異聞』、馬蹄鉄屋の『うまねむる』、レンガに纏わる父子二代の『土に贖う』~『温む骨』…知らなかった事ばかりで興味深く、歴史的ドキュメンタリーを読んでいるような気分にもなった。淡々と醒めた描写だが、不思議と熱を感じる人の描き方が効いている。消えた産業と従事した人を追悼しつつ、人生の意義を考え、余韻も残る作品だった。

2020/01/14

いつでも母さん

河﨑さん初読み。短編7作、そのどれもがその頃の空気や匂いを纏い私を過去へと誘った。土の重さ、汗の臭い、立ち枯れた季節、頬伝う涙・・かつて北海道に栄えた産業や支えた人々の栄枯盛衰。静かだが腰の据わった息遣いが聴こえるような読後感。幼い頃近所に蹄鉄屋さんがあった。熱い鉄を打つ音や馬の蹄の焼ける臭いを懐かしく思い出す。タイトル作からの『温む骨』で結ぶのが良かった。

2020/02/19

おしゃべりメガネ

北海道出身・在住の河崎さんの作品はやはり、北海道民でしか出せない独特な味わいが感じられます。本作は札幌や江別、北見や根室らを舞台にした7編からなる短編集で、明治から現代までを綴ります。限られたページ数の中でも、河崎さんらしい北海道の雄大な雰囲気を綴る描写は素晴らしく、どの話も見事に魅了されました。個人的には北見の薄荷の話と根室や別海でのミンクの話がココロにしみてきました。江別でのレンガの話は改めて江別の街を訪れたくなりますね。悲しく、儚いながらもどこか温かみのある河崎さんの作品がこれからも楽しみです。

2019/10/05

なゆ

短編集なのに、ズシンと骨太!北海道の大地に刻み込まれた記憶。時代ごとに栄えては廃る産業があって、儲けようと群がる人もいれば、食いつなぐためにただただ汗まみれで働く人々もいて。シルクのための養蚕、毛皮のためのミンク養殖、羽毛のための海鳥撲殺などなど、生き物がらみの話は人間の都合で…と複雑な気持ちで読まされる。ハッカ栽培、装蹄師、レンガ製造、時代の流れを感じながら、いろんな自然と人間の営みが染み込んだ北の大地を想う。「土を贖う」〜「温む骨」と土、つまりは大地が主役のようで、そこらへんの読ませ方もすごいな!

2020/08/13

モルク

開拓の地北海道で明治からの今ではもう廃れてしまった産業に就いていた人々を描いた短編集。養蚕、ミンク、ハッカ、海鳥など自然や生き物を相手にその産業の繁栄と衰退していく姿にひきつけられた。ミンクの話「頸、冷える」が物悲しく印象に残った。「南北海鳥異聞」は、吉村昭氏の「漂流」の舞台鳥島でのアホウドリ採りが出てくる。片や食べ物がなく食すためか、羽毛をとるためかの時代の変遷はあるにせよそのサバイバル生活には変わらぬものがある。そんな男が北海道で白鳥採りに挑む。そして…男の結末が悲しい。どの作品も作者の自然への愛と→

2019/12/18

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