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風よ あらしよ

風よ あらしよ

風よ あらしよ

作家
村山由佳
出版社
集英社
発売日
2020-09-25
ISBN
9784087717228
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「風よ あらしよ」のおすすめレビュー

3人の夫を持ち7人を出産、壮絶な最期…明治期を駆け抜けた伊藤野枝の情熱的な生涯とは?《吉川英治文学賞受賞》

『風よあらしよ』(村山由佳/集英社)

 愛という炎に燃料を与え続けるもの、それは、尊敬の念ではないだろうか。同じ方角を目指す仲間としての尊敬の思いが絶えずあれば、その愛は消えることはない。同志とも、友人ともいえる関係こそが、愛を燃やし続けるために必要なものではないか。

 村山由佳氏の『風よあらしよ』(集英社)は、まさに永遠に燃え上がるような不滅の愛の物語だ。第55回吉川英治文学賞受賞作であり、本の雑誌が選ぶ2020年度ベスト10第1位にも選ばれたこの極上のエンターテインメントで描かれるのは、明治期の婦人解放運動家・伊藤野枝の姿。社会主義思想家・大杉栄の内縁の妻であり、1923年、関東大震災の直後に、甘粕事件で虐殺された人物として知られるが、この本を読むと、教科書では知ることのできなかった一人の女の生き様が、鮮明に浮かび上がってくる。生涯に3人の夫を持ち7人の子を産んだ彼女の情熱的な28年間の人生に、読み終えた今も胸の高鳴りがおさまらない。

 伊藤野枝――本名・伊藤ノエは、1895年、福岡県糸島郡今宿村の貧しい家に生まれた。生活は困窮し、2度里子に出され…

2021/5/5

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風よ あらしよ / 感想・レビュー

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starbro

村山 由佳は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。大杉 栄は、知っていましたが、内縁の妻、伊藤 野枝の物語は、初読です。アナキスト&女として生きた28歳の壮絶人生、読み応えがありました。二人とも頭が良いはずで、貧乏なのに、どうしてこんなに沢山の子をなしたのでしょうか(笑) https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/kazeyoarashiyo/

2020/10/13

ゆいまある

まだ女性にまともな人権が無かった頃、女を、労働者を、弱きものを開放せよと理想に燃えた伊藤野枝。分かり合えない夫に愛想を尽かし、出会ってしまう。恋多き無政府主義者大杉栄に。身を焦がすほどの恋に落ち、子供を捨てて極貧生活に身を投じる。大臣宛に、あなたは為政者でも私より弱いと書く野枝。相手が誰であれ挑発し、目的の為には人を傷つけることも躊躇わない。強い。圧倒的に強い。この強さが欲しい。恋に溺れ、死の瞬間まで愛し合い、愛し抜いた男と共に若くして殺された。人々は語り継ぐ。気高い女の伝説を。

2020/10/14

ウッディ

女性活躍のスローガンだけが耳につく今から100年も前に家や男に縛られる女性の自由を訴え、嵐のように激しく生きた伊藤野枝の生涯を描いた長編。庇護される立場の危うさを感じ、自らの知的欲求を満たし、自立した女性へと真っ直ぐに突き進んでいく前半と、活動家の大杉栄と出会い、妻としての幸せを感じるようになる後半の野枝の心の矛盾が人間らしい。それにしても、自由恋愛など陳腐な理想を語る活動家の身勝手さと頭でっかちさと、知的な女性達が恋愛に溺れた時の脆さが印象的だった。650頁に及ぶ大作は色んな意味で読み応えはありました。

2021/05/01

いつでも母さん

凄い女性がいたものだ。28年の生涯を自分の心に正直に熱く生きた人。パートナー・大杉栄に出会うために生まれたのか。心配や不安から突然解放された二人一緒の最期は、野枝にとってある意味幸せな人生だったかもしれない。無政府主義・国家・自由・・時代も相まって想いを馳せる。何にも屈せずは強い。その熱に周りは呑まれてしまうのだろうな。野枝は生まれてくるのが早すぎたのかもしれない。野枝の胸打つ言葉は多々あるものの、最期があまりにも残酷で苦しさが残るばかりだ。村山さんが描く伊藤野枝にただただ圧倒され読了した。

2020/10/15

まちゃ

650頁超の大作、まさに「赤い鈍器」。一人の女性の生涯を描いた歴史小説。引き込まれました。面白かったです。平塚らいちょう、大杉栄の名前は聞いたことがありましたが、主人公の伊藤野枝に関しては全く知りませんでした。明治・大正期を生きたアナキストで婦人解放運動家の伊藤野枝。生涯で三人の男と結婚、七人の子を産み、関東大震災後に憲兵隊により殺害された。奔放で強い自我を持った伊藤野枝という女性の実像が、本人と周囲の人達の多面的な視点から語られていて興味深かったです。著者である村山由佳さんの力量に感服しました。

2020/12/31

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