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もろびとの空 三木城合戦記

もろびとの空 三木城合戦記

もろびとの空 三木城合戦記

作家
天野純希
出版社
集英社
発売日
2021-01-26
ISBN
9784087717402
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もろびとの空 三木城合戦記 / 感想・レビュー

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とん大西

籠城戦-言葉の響き以上に繰り広げられる凄惨と壮絶。織田に反旗を翻した古豪・別所家。司令官・秀吉の報復が東播磨の平穏を破る。焼かれる家や田畑、奪われる財。子は拐われ、女は凌辱され、男は斬られ…。必死の加代らが逃げ込んだ三木城。生と死-巨大な籠が7千の民と別所家の過酷を刻む。一掴みの米はいつしか一口になり、ついには一粒も給されることなく…。家畜、虫を、木の皮を食い…飢えを凌ぐ民。民を顧みず己の腹を満たす上級将校。死んだら楽になれる…のに食う、そして生きようとする。健気な加代らの命のドラマ。圧倒、圧巻です。

2021/02/24

ずっきん

「三木の干殺し」秀吉による二年にも及ぶ兵糧攻めにあった三木城の籠城戦が題材。籠城の恐ろしさが毛ほどの容赦もなく描かれていく。戦の惨たらしさにこれほど焦点をあてた戦国エンタメがあっただろうか。だが、百姓の娘加代、女武者を組織する波、臆病者となじられる伊織、登場人物たちのなんと力強く物語のドラマチックなこと。天野氏は史実という皿に載せた人間を描き出すのが本当に上手い。嘆き、葛藤し、たとえ哀しい結末への道を選んだとしても、そこには愛とロマンがある。ああ、だから天野作品を読むんだなあ。すっごくよかった。

2021/12/29

なゆ

織田から離反し毛利についたことで、秀吉率いる軍からの長きにわたる兵糧攻めで落とされた三木城。若き城主別所長治は叔父兄弟(吉親と重宗)の対立に翻弄されてしまったのか。2年近くもの兵糧攻めの話だけに極限まで飢餓に向かうのを読むのは辛かった。女武者組を率いる、吉親の妻の波の生き様が凄かった。その姿はもう最後の最後まで。涙なくしては読めない。開城が決まってからが、実に読み応えあった。とても悲しい結末だが、加代たちのその後に希望が。どんなに壊されてもどうにか立ち直る、民の逞しさよ。それに比べて武士というのは…。

2021/10/16

シャコタンブルー

凄まじい合戦とは刃と刃で戦うことだけでは無い。三木城合戦は秀吉の2年もの兵糧攻めにより飢え死にが相次ぎ、最後は”あの肉”まで食べる壮絶さ・・。父と母を戦により亡くした16歳の加代が女武者組に抜擢され三木城の守護に付く。彼女が見たものは「播州武士の矜持、名門別所家の誇り」では無く、憐れで愚かな武士の姿だった。自己顕示欲の塊のような吉親、この男のために多くの民百姓や武士が死んでいく場面では憤怒し、長治一族が自決する場面では塁々と涙が落ち悲嘆に暮れた。敗戦の荒廃の中どんな状況でも生き抜く加代の力強さに感銘した。

2021/02/21

巨峰

歴史にifはない。後戻りも取り返しもつかない。戦国史上最も悲惨な城攻めの一つ、三木城合戦も、後世の目でみたら何であんな選択をしたのかわからないけど、その時はそれが正しいと思ったのだろう。そして、いつの時代も、政治の間違った選択で苦しむのは民である。

2021/07/24

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