空をこえて七星のかなた
空をこえて七星のかなた / 感想・レビュー
さてさて
『夢にここまでという行き止まりはない。夢が叶った、さらにその先があるって』。舞台を全く異にする七つの短編がそれぞれの読み味を楽しませてくれるこの作品。そこには、加納朋子さんならではの構成の妙を鮮やかに見せつけられるような緻密な設計に基づく物語が描かれていました。すべての短編が『星』に結びついていくどこかロマン溢れるこの作品。人と人とのまさかの繋がり!、まさかの縁!に驚きもするこの作品。美しく紡がれていくミステリーな物語の中に、加納さんが書き下ろす小説世界の魅力を存分に感じさせてくれた素晴らしい作品でした。
2023/06/24
けんとまん1007
空をこえて・・・自分にとっての空って何だろう?いつも、身近なところにあるようで、手が届かない。見上げる空、そんな空の向こうを想像する。そこに思いを馳せることが大切なんだろう。そんなことを考えさせる物語集。読みながら、あれっ・・これはと。自分にとっての空、空の向こうにある星。それがある間は、大丈夫だ。
2022/07/11
ひさか
小説すばる2017年6月号南の十字に会いに行く、2020年10月号星は,すばる、12月号箱庭に降る星は、2021年2月号木星荘のヴィーナス、4月号孤舟よ星の海を征ゆけ、6月号星の子、8月号リフトオフ、の7編に加筆修正し、2022年5月集英社刊。星繋がりの短編集だと思いきや、登場人物も密に繋がる連作短編になっているというのがラストのリフトオフで明かされ、びっくりしましたが、そこは無くても、ひとつひとつが良くできた話で存分に楽しめました。リフトオフの大団円的演出は、少し過剰で、オマケチックな楽しみです。
2023/01/21
紅はこべ
ある女性の子供時代から大人になって夢を叶えて飛び立つまでの年代記、と言っていいのかな。木星荘の美女が箱庭の先輩と同一人物かもと思ってから、最初から読み直し、七星の再登場でああ、そうかと思い、ラストの一編で全て繋がる。巻頭では七星の祖母の元に皆が集まり、ラストでは七星の母の元に皆が集まるという形で呼応している。登場人物の名前が星や天体に関連するのがやけに多い。七星の家族以外でも。
2023/01/02
いつでも母さん
7話の短編集。別々の話だと思っていたら・・ん?んん?どこかに接点があって、ラストでちゃんと繋がってしまう。これは紛れもなく加納さんの感じ。7話って言うのがまた好いよね。タイトルからして名前や境遇、未来に纏わる大きな話も登場する。宇宙から見たら人間はちっぽけなサイズだけれど、それぞれに無限の可能性があるよ!って、諦めることも、卑屈になることも無いのだと感じさせてくれる。そして優しくなれる読後感が好い。
2022/07/01
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