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プリテンド・ファーザー

プリテンド・ファーザー

プリテンド・ファーザー

作家
白岩玄
出版社
集英社
発売日
2022-10-26
ISBN
9784087718102
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「プリテンド・ファーザー」のおすすめレビュー

ふたりのシングルファーザーが同居!? 悩める30代が新たな父親像を模索する『プリテンド・ファーザー』

『プリテンド・ファーザー』(白岩玄/集英社)

 子育てに積極的な父親が増えたとはいえ、育児はまだまだ母親主体。共働きの家庭でも、子どもが急に発熱すれば、看護休暇を取るのはたいてい母親。授業参観やPTAに参加するのもほぼ母親。「男は仕事、女は家庭」という旧弊な価値観は今も社会に根を張っており、小さな子どもを持つ女性が再就職しようとすると面接でハネられるという苦々しい現実もある。

 こうした子育てをめぐる問題を、ふたりのシングルファーザーの視点で見つめたのが『プリテンド・ファーザー』(白岩玄/集英社)。ちなみに『プリテンド』とは、「~のふりをする、偽って主張する」という意味。前作『たてがみを捨てたライオンたち』(集英社)では男らしさの呪縛と向き合ったが、今回は「見せかけの父親」だったふたりが自分らしい父親像を模索する小説になっている。

 大手飲料メーカーの営業部で激務に追われる恭平は、父親の自覚が薄く、育児は妻に任せきり。だが、ある日突然妻を亡くし、シングルファーザーとしてひとり娘を育てることになる。人事部に移り仕事量は減ったものの、4歳の娘・志乃をひとり…

2022/10/27

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「男の子が大人になるまでに受ける傷の蓄積は、かなりのもの」――父親になることから男らしさの呪縛まで、白岩玄さんと田房永子さんが語る!

 妻が突然亡くなり、4歳の娘を突然ひとりで育てることになった恭平。シッターとして働きながら、1歳半の息子を育てている章吾。正反対のシングルファーザーが、同居生活を始めたら……?

 白岩玄さんの新刊『プリテンド・ファーザー』(集英社)は、ケアとキャリアの狭間で揺れる男性を描き、これからの父親像を模索する意欲作。白岩さん自身も2児の父親とあって、男性が抱える育児の問題を細やかに描き出している。

 この小説の刊行を記念して、育児やジェンダーについて執筆するマンガ家・エッセイストの田房永子さんとの対談が実現。小説の感想にとどまらず、育児の葛藤、男らしさの呪縛、性教育のあり方など縦横に語り合っていただいた。

(取材・文=野本由起 写真=川口宗道)

「『男は泣くもんじゃない』と自分に縛りをかけて育ってきました」(白岩)

──おふたりは初対面だそうですが、ネット上ではメッセージをやりとりされていたそうですね。

田房永子さん(以下、田房):『対抗言論』という評論誌に掲載されていた白岩さんのエッセイが、すごく面白かったんです。私の本も読んでもらいたいなと思って『なぜ親はう…

2022/12/9

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プリテンド・ファーザー / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

いつでも母さん

「待ってろ、クラゲ!」こんなラストは堪らなくて、泣き笑いになってしまった。ガンバレ~!って心から思ったよ。読み初めは恭平にイラついて、章吾に対してもモヤモヤしたり・・自分の子育てを棚に上げ、さも分かった風の自分にハッと恥ずかしくもあった。シングルファーザー同士の同居を暮らしを『育児は育自』の言葉が過りつつ読んだ。男だから女だからではない。母でもあり父でもある。子供を慈しんで育てること・・過ぎし日は還らない私の子育ての日々は遥か。

2022/11/21

machi☺︎︎゛

私は母親だから母親目線でしか子育てした事がないけれど、これは父親目線の話。恭平は4歳の志乃ちゃんを育てているシングルファザー。章吾は1歳の耕太を母親とは離れて1人で育てている。そんな2人が一緒に暮らすことに。私はまず1歳の子供と仕事の為とはいえ離れて暮らす事を選んだ母親の事が理解できなかったから、誰にも共感は出来ずに読んでいたけれどこの多様性の時代、こういう話も実際にあるように感じた。

2023/03/11

みかん🍊

妻を亡くした恭平、海外へ単身赴任の妻を持つ章吾、同級生の二人とも現在シングルファーザーだと知り、元保育士でシッターをしている章吾に一緒に住んで娘の面倒を見て貰う事を提案し、子供と男二人の生活が始まる、育児は母親が担う、男は家族の為に働くものと恭平の様な大企業でも未だに男が育児休暇を取る事が認められない、今まで当たり前だと気づきもしなかった恭平も章吾との暮らしの中で変って行く、章吾の方も家族について悩む事が多く、現代の子育て家族について考えされられるが、章吾の夫婦関係についてはもやもやが晴れなかった。

2022/12/15

chimako

家族の形は色々。両親(男女の)がいて、父親は働いて家族を養い、母親は家で家事をこなしながら子育てをする……これはもはや前時代的妄想。共働き世帯が多く家事や子育ては二人でやるのが当たり前、親が同性の場合もあるし、母親が外で働き父親が主に家庭内の諸事をこなすケースもある。血縁関係のない親子もある。親が一人で子育てする家庭も多い。ここに登場する二人の父親は共に現在シングルファ-ザー。妻の突然死で娘と二人で暮らす恭平と妻の海外単身赴任で息子の面倒を見ている章吾。pretendは決して後ろ向きの言葉ではない。

2023/01/16

mike

性格も考え方も違う元高校の同級生であるふたりのシングルファーザー。彼等が同居をする中で子育て、家庭の在り方、男女格差等について悩み成長をする物語である。日本の社会が女性にとって生き辛いのは周知の事。しかし、リベラルな考えを持つ男性やシングルファーザーにとっても、この社会には偏見や壁がいっぱいで息苦しいのだと分かった。女の子をもつシングルファーザーの公衆浴場の問題は確かに悩ましい。私は家族はどんな形態でも互いに納得するならそれでいいと思う。そこに存在する子どもが受け入れられ大切にされるのならば。

2023/04/03

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