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語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団

語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団

語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団

作家
マーガレット・アトウッド
鴻巣友季子
出版社
集英社
発売日
2020-09-04
ISBN
9784087735079
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語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団 / 感想・レビュー

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ケイ

謹んで拍手。シェイクスピアの『テンペスト』にて、プロスペローが舞台で恭しく挨拶をする幕引きに、盛大な拍手を。喪失の哀しみと 裏切りへの憤怒。古典の名作に、それらを苦いスパイスとし、大人の悪い男たちを掌で踊らせる。アトウッド氏がヘレン・ミレンの顔をして、自分の手を見ながらニヤリとこちらにウインクしてくる感じ。原作の解釈は、登場人物それぞれに、そして読者に委ねてくれる。アトウッドの最高傑作じゃない? 舞台が見えるの。みんなが本当に楽しそうに演じてるのが。これは映画になるわよね。日本では三谷さん、おねがい!

2020/09/04

ケイ

読書会のために再読。改めてアトウッドの筆の衰えなさ、というより筆のますますの冴えに感嘆。シェイクスピアのrewriteなんてものに手を出して晩節を汚すようなことになれば…一体なんてことを…と読む前には思ったけれど、読み砕いて、ぶっ壊して、新しい価値観を持ってきてる。LGBTや人種問題に移民、そして忘れてはならない先住民の主張。環境問題もどさくさに紛れていれ混むし、囚人の権利や、あと見世物小屋に出されるもののツラさとかなんとか全部。パーフェクト!

2020/11/04

buchipanda3

アトウッドによる語りなおしシェイクスピア。いやあ楽しく読めた。復讐劇の「テンペスト(あらし)」を題材に新たに書き下ろされた物語。著者の軽快・軽妙なタッチ(こういうアトウッドもいい)の文章に乗せられながら気持ちよくページがめくれていく。服役囚たちの悪乗りラップがいい(訳も巧い)。元々歌う場面が多い原作だけにぴったり。ミランダ役のアン=マリーは最初性格が配役と違うかなと思ったが、読後にはこれぞミランダと。舞台後に全員で語り合った劇の解釈の発想も面白い。そして本作も復讐や赦しだけじゃなく解放の劇だったと思えた。

2021/05/14

(C17H26O4)

いやー、面白かった。ほぼ台詞だから、もうね、芝居を観ているようだった。「語りなおし」ってなんだ?と思っていたが、なるほどね。また、これはテンペストの軽快な解説書、読み方の指南書でもあるではないか。惜しむらくは、元の台詞を知っていたら面白さが倍増しただろうということ。テンペスト片手に再読必至。学生時代に受講してみたシェイクスピア講義のテキストなんてはるか昔に処分してしまったが、それを後悔する日が来るとは思わなかった。最終ページを口上で締めて欲しかった気もするが、観客として盛大な拍手で本を閉じた。訳も良い!

2020/12/01

NAO

『テンペスト』は、弟の裏切りで国から追放され孤島で暮らしているミラノ王の復讐劇。この「島」は牢獄に他ならず、『テンペスト』の舞台設定ならびに復讐劇という内容は、表舞台から追放され矯正所を働き場とし復讐を胸に秘めている主人公の現状とまったく同じという、なんとも凝った構成。フェリックスの授業での『テンペスト』の解釈が、これまた面白い。発表後、物語のその後を考えさせるのも、ユニーク。アトウッドというと、暗く重い話ばかり読んできたが、この作品は、まったく印象が違うものだった。こういうアトウッドも、いいなあ。

2020/11/12

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