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機嫌のいい犬

機嫌のいい犬

機嫌のいい犬

作家
川上弘美
出版社
集英社
発売日
2010-10-26
ISBN
9784087753974
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機嫌のいい犬 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

俳人、川上弘美さんの第一句集。1994年~2002年までの精選220句。季語もある定型句が中心だが、中には無季自由律の句も含まれる。例えば「はっきりしない人ね茄子投げるわよ」。川上弘美さんと俳句って、なんだか違和感もあるものの、また納得できないものでもなかったりもする。私の中の定義では、「短歌は主体感情を歌い上げるもの、俳句はものの本質を見事に言い当てるもの」なのだが、川上弘美さんはやはりどちらかと言えば、感情派であるよりは本質派なのだろう。私撰による集中第一の句は「花冷や義眼はづしし眼のくぼみ」か。

2014/12/21

あも

川上さんの紡ぐ言葉って詩みたい、って常々思ってて、一度読んでみたいと思ってた句集。惨敗。慣れの問題なのか相性の問題なのか、そもそも自身に俳句について述べるための語意と文脈がないせいか。好きな句もあったけど、それを表現する術がなくて困っている。ので、好きな句を紹介。『はるうれひ乳房はすこしお湯に浮く』やらしい意味でなく情景が浮かんで風流。『骨軽くわれあり春の闇のなか』幻想的な川上さんの小説のイメージ、『しのぶ会行かんでしのばむ春の雪』出不精な川上さん、『ごきぶり憎し噴きつけても噴きつけても』これ俳句かな笑。

2018/12/11

めしいらず

勝手に予想していた”カワカミヒロミ”的な感じは割と薄めかもしれない。”らしい”と感じたのは「はつきりしない人ね茄子投げるわよ」が一等かな。どれも様々に楽しく、そして寂しさや可笑しみに余韻があってさすが。以下お気に入りの句を。「てながざるほしくてをどるちるさくら」「目を入れて達磨淋しき日永かな」「黒髪ヲ売リマスとあり路地の秋」「春の夜人体模型歩きさう」「秋風や惣菜買へる警備員」「春日やアパートぢゆうの赤子泣く」「ごきぶり憎し噴きつけても噴きつけても」「秋高し馬券売場にだし匂ふ」「決然と洟かみにけり九十翁」。

2019/12/11

Ikutan

大好きな川上さんということで、俳句の心得は全くないのですが、手にとってみました。今は便利ですね。わからない言葉や知らない植物などすぐに調べられるから。川上さんらしい瑞々しい選び抜かれた言葉の数々が染み込んできますね。日常の情景を切り取ったり、心中をさりげなく織り込んだり。『運河ゆく舟に花嫁柳絮とぶ』『草分けておとうと探す春の暮』『夏の夜オカリナ吹いてこはくなる』『捨てかねし片手袋のありにけり』『野球少年球離さずよ昼寝の中も』クスリと笑ったり、うっとりしたり、贅沢な一冊でした。

2014/12/16

ほほほ

川上弘美さんの俳句集。表紙も開いたページも、実にすっきりしてて清々しいのにエッセンスが凝縮されててとっても贅沢。目にもやさしい。川上さんの切り取る情景とその余韻はくどくなくて、時々クスッと笑ったりしながら気持ちいいリズムで読めました。四季の中では春の句が一番多かったかな。「春の夜/人体模型/歩きさう」とか好き。選べないほどいいなぁと思える句がたくさんあったので、川上弘美ファンの方には全力でおすすめです。今まで目にもくれなかった俳句が一気に身近なものとなって、なんならちびちび作ってみたりして、愉しいです。

2014/11/23

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