王妃マルゴ 8 (愛蔵版コミックス)
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王妃マルゴ 8 (愛蔵版コミックス) / 感想・レビュー
あきぽん
中世フランス史劇完結編。萩尾先生は人が年を取り変貌していくのを描くのが抜群に巧い。マルゴは性的奔放な魔性の女ではなく本当は一人の男を愛し抜いた女だった。ただ状況が状況だけだっただけだ。古代や中世の宮廷では骨肉の殺人や不倫が行われていたけど、それは法律が整備されていなかっただけで人間は今でもちっとも変っていない。ペストの流行が中世ヨーロッパの人々を恐怖に陥れたのと同様、コロナの流行は2020年の世界の人々を恐怖に陥れている。
2020/04/05
kasim
完結巻なので登録。もっと読み続けたかったという思いと、70年代の圧倒的なロマンティシズムの描き方ではないのでもう潮時かな、という思いが錯綜する。これだけ多くの人物を上手にさばいて、普通の漫画なら充分満足なのだけど萩尾先生だから勝手な方向違いの期待を持ってしまう。サン・バルテルミーの夜を中心に魔性の女を描く劇的な構成ではなく、生身の女性として老いや生活費の悩み込みでマルゴの一生を丁寧に追っていく。コマ割りや視点を見てもロマン主義よりリアリズムな作品に着地した。
2020/03/20
ぐうぐう
裏切りとは、される側にとっては青天の霹靂、世界が反転する事態だ。実は裏切る側にとっても、欲が、あるいは信仰の強さがそれをさせているとすれば、自らの世界を反転させている、いわゆる自身の世界への裏切りとも言える。『王妃マルゴ』が多くの死に彩られ、権力者が次から次へと変わっていくのは、それが宗教戦争であり、宗教戦争とは世界を反転させることを目的としているからだ。『王妃マルゴ』後の歴史も、反転の連続であり、まるで人間は世界を裏切るために生まれてきたかのようだ。
2020/03/02
花林糖
最終巻。後半は激走な展開でしたがマルゴの余生は今までよりも穏やかそうでよかった。アンリ4世の晩年は余りにも醜すぎです。毎回表紙が楽しみでしたがこの巻の表紙が一番好みです。
2020/03/11
aisu
全8巻再読。カトリーヌ・ド・メディチが丁寧に描かれているように思い、私はそこが好きです。虐殺も教科書だと一行で、大抵彼女は悪者ですが、それまでは融和政策だったこと(カトリーヌ的になるべく争いは避けたい)、いろんな事情が動き出してあの虐殺に至るのがよくわかりました。3巻と4巻に彼女の少女時代の苦労を思い出すシーンがあります。だからこそ子供には安定した国にしてやりたい&王の権威を高めたい気持ちはわかります。結局混乱の中で亡くなるのがなんとも・・・。メディチ家の浮き沈みをウィキで調べました。
2020/05/06
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