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五番町夕霧楼 (P+D BOOKS)

五番町夕霧楼 (P+D BOOKS)

五番町夕霧楼 (P+D BOOKS)

作家
水上勉
出版社
小学館
発売日
2016-11-08
ISBN
9784093522854
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あらすじ

映画化もされた不朽の名作がここに甦る!

昭和20年代半ば、京都で遊郭の娼妓となった片桐夕子、19歳。貧しい寒村生まれが故、家族のための決心であった。哀れに思った女主人・かつ枝の配慮により、西陣の大旦那に水揚げされそのまま囲われる道もあったが、夕子は自ら客を取り始める。最初の客で頻繁に通ってくる修行僧・櫟田正順、夕子との仲を疑われている彼が前代未聞の大事件を起こした――。

二人の関係が明白となる結末が切なく心に沁みる。実際に起きた事件と対峙した著者が、それぞれの人物像を丹念に描いた渾身の作である。

五番町夕霧楼 (P+D BOOKS) / 感想・レビュー

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みっちゃんorみこ

予備知識なく読んだので、物語があの事件と関連していたことに驚いた。夕霧楼での逢瀬は、孤独な二人の魂の通い合いだったのか。誰も当人たちの本当の心などわからない。憶測にすぎない。男たちの冷たいこと。竹末などただの好色オヤジだった。櫟田も自己憐憫にとらわれているだけ。女に夢中なようでいて、仕事や使命(と思い込んでいること)のためには一顧だにしなくなる。無私無欲で男たちを受け入れた夕子、本当に恋していた夕子が哀れだ。夕子の父親も櫟田の母親も。

2017/01/19

Takashi Takeuchi

金閣寺炎上を題材に放火犯の僧ではなく、貧しい漁村から京都の遊郭に連れて来られた19歳の娼妓・夕子を主役に描く。前半はおとなしく無口な夕子からその人物像が見えず、ミステリアスに進んで行くが、後半に入ると切なく哀しいドラマが加速していく。ただ、終戦間もない時代の空気を他の小説や映画で体験していないとこの哀切は伝わり難いかもしれない。悲しい物語でありながらエンディングには何故か不思議なほどに清々しい美しさを感じ、胸を打たれた。名作。

2018/09/21

チョビ

超普遍的。そう思えました。 ある時は昔ハマったレオス・カラックスの映画のような「苦悩」「弱さ」「狂気」そして「醜い容姿」の主人公とその世界の行間を読んで行く感じ。 あるいはその「老い」や「価値観の変化」を恐れる老人たちの新しい世界への恐れ。 そしてその分断された世界をしたたかに泳ぐ「沈黙」という「闇」。 その沈黙が破られれば、ただ「死」あるのみ。 文章も読みやすく、やはり水上勉とは大作家なのだなあ、とは思いました。

2017/03/06

読了の一ヶ月後にたまたま京都に行って、たまたま井筒八ツ橋本舗に立ち寄って‥‥たまったま『夕子』のパッケージをまじまじと見て‥‥‥‥八ツ橋の夕子がこの小説に因んでいたことをこの年になって初めて知った!

2017/04/17

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