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マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS)

マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS)

マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS)

作家
野坂昭如
出版社
小学館
発売日
2018-10-11
ISBN
9784093523486
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マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS) / 感想・レビュー

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みや

表題作始め5篇収録。芸能・看取り・原発などといった題材の多様さにまず舌を巻く。加えて意表をつく発想の豊かさと落語のような展開の小気味良さにも。読点で繋ぎまくる口述筆記そのままのような著者独特の文体が拍車をかける(ハマらないと苦痛だが…。)。内容のどぎつさが目立つが、目を背けたくなるような「本質」を見つめていなければ描き得ない世界。そこここに漂うペーソスにその眼差しの優しさを感じる。時代に左右されない不朽の作品群だ。

2019/02/07

クッシー

短編集。『戦争童話集』を読んでから、野坂さんに興味を持ち、購入。テーマが私小説的なもの、老人介護、原発建設、怪談など多岐にわたる。どれも、退廃的で、どこか狂気を秘めている。その狂気に自分が触れた時、それに呑み込まれそうになる。こうしたものを描けるのはやはり、野坂さんに青春時代の戦争体験があったからだろう。こうしたある種強烈な体験に裏付けされた小説に心打たれる。

2019/01/23

でろり~ん

4度目のお色直し版だそうで、おほほのほ。タイトルだけは知っていた本でしたが初読。解説者がトリック・スターという表現をしていますが、本当に野坂昭如という作家はとんでもないバリエーションをものしていったんですねえ。句点の少ない独自の文体は、リーダブルとか、んなもなあ関係ないねって感じでどんどん先に進んでいくわけで、あ、こりゃ、どうも恐れ入りやした。戦中派作家。全て初めて読む作品でしたが、今に通じる中身を感じさせてくれるものでした。小説が凛としていた頃でしょうか。今は女性作家の時代なんでしょうかね。時代の変遷。

2018/11/23

Yuichiro Nakatsuka

著者の個人史と重なって、自伝的作品にも映るが、ここまで人でなしではないだろうと思われるぐらいダメ人間を描いた表題作、50年前に老人介護問題 を扱った予見的な 『死の器』、落研の連中をまんま落語のように描いた『ああ軟派全落連』、 原発建設用地の漁村の歴史を遡って綴ったクロニクル 『乱離骨灰鬼胎草』、愛欲にまみれた怪奇幻想スリラー『砂絵呪縛後日怪談』、題材は様々ではあるが、そのどれもが業深き人々の悲喜劇を、独特の文体で表現しており、まさに野坂昭如の真骨頂、余人を待って代えがたい。

2023/04/20

コノヒト

霞を食うて生きてゆきたい、と切実に願った日々もあったものだ。浮世離れした妄想も、全然日常現実と地続きになった妄想も、逞しくする私にとって『マリリン・モンロー・ノー・リターン』は身につまされる。こそばゆい。おしまいの二編は目を背けたくなるくらいに凄惨なんだが、話が面白くて目が離せないというアンビバレンス。

2021/09/24

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