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ガラパゴス (下)

ガラパゴス (下)

ガラパゴス (下)

作家
相場英雄
出版社
小学館
発売日
2016-01-26
ISBN
9784093864336
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ガラパゴス (下) / 感想・レビュー

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starbro

上・下巻600P一気読みしました。ダーウィンの進化論で有名な本家のガラパゴス諸島は魅力的なワンダー・アイランドですが、本作のガラパゴスは陰惨で暗澹たる閉鎖的な島国でした。最近ブラック企業が取り沙汰されていますが、もしかしたら我が国自体がブラック国家なのかも知れません。田川刑事の脅威の執念に少しは救われるものの・・・少し気は早いですが、本作を本年のBEST10候補に推したいと思います。何時かガラパゴス諸島に行けたら良いなぁ!

2016/03/02

yoshida

事件の真相が明らかになる。大企業のコストカットによる安全性の軽視、人を使い捨ての部品のように扱う派遣会社。今の日本にある課題に光を当てた社会派サスペンス。殺害役を指示された男に提示された条件のなんと悲しいことか。よく耳にする「働き方改革」の胡散臭さ。高齢化社会で成長率が伸びない日本で給料が上がる事はない。実質的な賃下げや、馘首をしやすくするのが本音だと思う。私の勤務先でも業務は高度化し数字もきついが、経営側は成果を上げて早く帰り残業代を減らせと言う。エピローグに泣きそうになる。現代の暗部に切り込む名著。

2017/04/30

サム・ミイラ

下巻は上巻を遥かに上回る衝撃だった。自動車業界のみならず家電や飲食業界の現状までもが語られる。知らなかった事ばかり。陰りが見えたとはいえ世界をリードしていたはずの日本は今確実に「ガラパゴス化」している。人件費を合理化の名の下に削る豚カツチェーンの例などファミレスでバイトしていた娘の話と完全に一致する。背筋が寒くなる。政府と企業に多くの日本人は騙されている。そう思う。警察小説としての側面も見事。執念の捜査と狭まる包囲網そのリアルさに興奮胸が熱くなる。松本清張の志を継ぐのは相場英雄で決まり。正にそんな名著だ

2017/02/21

Yunemo

壮絶というしかできません、この動機!この格差、現実的でありながら、でも知り得ることもなく。やはり上層部は逃げ切れるんだ。本作品、ミステリーというより経済・社会小説と受け取って。日本の自動車業界もガラ携と同じ、世界市場から置いてけぼりの運命、知らなければ知らないまま。人件費と売上というコスト管理に意識を向けなければ、ゴーイングコンサーンとなり切れず。これが企業を見る眼。でも、労働面から見ると、働きたいという単純な想い、普通にメシが食え、家族と過ごす、こんな当たり前のことが、面倒なご時世。うーんと唸って読了。

2016/03/06

しんたろー

下巻は怒濤の一気読み!真相に迫ってゆく田川刑事と共に、現代日本の抱える問題を考えさせられた。雇用の歪み問題と一流メーカーのガラパゴス化という大きなタブーを核にして、熱く書き上げた相場さんに拍手!! 「普通に働き、普通にメシが食えて、普通に家族と過ごす。こんな当たり前のことが難しくなった世の中って、どこか狂っていないか?」と言う田川の台詞が胸に残るし、被害者も加害者も切なく哀しい。鳥居刑事も一つの生き方として理解できて、単なる悪役でないのが面白い。スポンサー主義の民放テレビでは制作できないのが惜しい快作。

2017/02/11

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