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処方箋のないクリニック

処方箋のないクリニック

処方箋のないクリニック

作家
仙川環
出版社
小学館
発売日
2020-12-15
ISBN
9784093866019
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処方箋のないクリニック / 感想・レビュー

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absinthe

病気や病気以外の問題を、一風変わった総合内科の先生と語り合ううちに解決していくという短編集。人の数ほど悩みあり。サスペンス調の話もあるが、基本はちょっと良い人情もの。かつて医療ミステリやサスペンスを書いていた仙川環さん。いろいろ読んだが、本書の路線は彼女に似合うと思う。是非、シリーズにしてほしいな。仙川さんは長編より短編が優れているし、サスペンスより人情者が良い。absintheが好きなのはこれと、あのサカマキングが出てくる新聞記者の短編集。

2021/08/21

いつでも母さん

ハーフパンツの倫太郎ドクター!こんなドクターと明るく元気なナースがいる『総合内科』は嬉しい。青島総合病院内にあっても不思議はない気がするが…まぁ個性的過ぎて反感は買うだろうと想像に難くないが、患者さんにとってはありがたいよね。連作6話。正直言ってどうにもちょっと物足りないと感じてしまった。ハーフパンツの意味は肩書や既存の枠や柵からの解放なのだろう。患者は色々、ドクターや病院も色々だが、僻地に住む私にとっては簡単に病院やドクターを選べない現実がある。かかりつけのクリニックのある有難さよ。

2021/02/18

シナモン

運転免許を返納したがらない老人、怪しいサプリメントにはまる和菓子屋の女将、パワハラで体調を崩す若者…。どれもいかにも身近にありそうで感情移入してしまった。描写もうまい。倫太郎先生はそんな頑なで思い込みが強い患者さんを上から説得するんじゃなく、しっかりとした医療知識を背景に自分から気づかせる。なんというか器が大きくてとっても素敵な先生。白衣の下にはいつもハーフパンツってのも気取らなくていいな。「命より大事なものはないでしょ」の言葉が沁みた。読みやすく面白い一冊でした。

2021/08/08

モルク

病院の一角、雑木林の奥の砂利道を進んだ先にある古い家、そこに総合内科はある。大病院の理事長の兄でハーフパンツ姿の医師青島倫太郎と看護師ミカのふたりだけでやっている。医療相談専門で患者の悩みに向き合う。6話の連作短編集。高齢者と免許返納、高額サプリ、遺伝子検査…と今の問題にも直面するが、看護師のセクハラ問題も挿入していて、サクサク読める。患者の話を嫌な顔をせずじっくり聞いてくれる医者…いいなあ、問題は採算がとれるかだけど。続編が出るといいな。

2021/10/28

美紀ちゃん

今の病院は患者の雑多な悩みをじっくり聞く場がない。ドクターによる医療診断は時間がかかるし保険がきかない。だから医療相談専門の総合内科が必要。ハラスメントは戦うか逃げる2択。体の具合が悪いのは、心の悲鳴の表れ。健康よりも大切なものはない。綾瀬君はかっこよかった!戦う方を選んだから「血圧陰謀論」。そして最後の章もかっこよかった。「奇跡のメソッド」 ステロイド剤を悪魔の薬と言い、自然療法を推奨している変な詐欺まがいの団体に対しての倫太郎先生の切れ味がお見事で清々しい読後感だった。医者と話をするのは大切だなぁ。

2021/09/04

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