親友 (小学館文庫 か 47-1)
親友 (小学館文庫 か 47-1) / 感想・レビュー
mocha
昭和29年から「女学生之友」に連載された幻の少女小説。瓜ふたつのめぐみとかすみの友情が華麗な筆致で描かれる。ピアノのある家やカゴに入れたサンドイッチとか西洋犬とか当時はきっと女の子の憧れだったんだろうな。玉井徳太郎氏の挿絵がたくさん使われているのも嬉しい。少女にしては妖艶だけど当時のお洒落が伝わってくる。併録「樅ノ木ノ話」カタカナばかりのお話を小学1年生が読んでたと思うととても不思議。瀬戸内寂聴さんの解説はほぼあらすじと自分の話。間違ってるところもあったりでなんだか心配になった。
2018/03/07
佐島楓
終戦後に川端が「女学生の友」に連載した小説。繊細で美しい文章に、ときどき混じる暗さや冷やっとするところが、やはり川端である。かすみの孤独とわがままは、幼いころの自分に重なるところがあって胸が痛んだ。この頃の少女雑誌を読んでいた世代がうらやましい。
2017/08/16
えりか
少女向け月刊誌「女学生の友」に連載されていた少女小説。同じ誕生日で双子のように似ている、かすみとめぐみの友情物語。嫉妬と亀裂、少しのスリル、かっこいいお姉さま登場、家族と友人の優しさ。当時は女の子たちは肩を並べて読んでいたのだろう、ああなる、こうなる、なんて展開を予想していたのだろう。楽しみながら読んでいる姿が目に浮かぶ。「わたしたちもかすみとめぐみのような親友でいましょう」なんて言い合っていたのだろう。物語を楽しみ、当時読んでいた少女たちの様子を想像して楽しみ、二重に楽しめた。玉井徳太郎の挿し絵が素敵。
2017/08/16
syaori
川端の少女小説。生まれた日が同じで容姿も似ている、二輪のチューリップのようなめぐみとかすみを中心に、少女たちの友情、わがまま、親や周囲へのちょっとしたわだかまり、かわいらしい嫉妬など、思春期の曖昧な一時期の心情が繊細に描かれていてうっとりします。自分の少女時代はこんなに美しいものではなかったのですが、自分の心の奥に残っている少女時代、その理想を刺激されました。表紙にもなっている玉井徳太郎の挿絵がまた素敵で、登場人物の魅力を違った角度で伝えてくれて、挿絵と文章が互いに支え合って紡ぐ可憐な世界を堪能しました。
2018/08/03
にゃおんある
おみきどっくりの二人。戦後にトレースされた友情の、少女向けのお話。されども、センテンスとコンテキストは、たどたどしい美しさを放つから、流石だなと思いながら引き込まれてしまった。質の良いワインのような酔いが回る。洒落たアンティークみたいな品の良さ。もつれた紐が解けていく心地よさと新しい試練の憂いが来て、成長していくのだな、と思う。もう、自分には遅巻きすぎるけど、清々しい気分になれる。どこへ行っても、何年経とうとも、いつまでもポラリスを見失わないようにしたい。
2018/08/30
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