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抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた (小学館文庫 つ 11-1)

抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた (小学館文庫 つ 11-1)

抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた (小学館文庫 つ 11-1)

作家
辻原登
出版社
小学館
発売日
2018-08-07
ISBN
9784094065428
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抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた (小学館文庫 つ 11-1) / 感想・レビュー

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KAZOO

辻原さんが文化功労章受章ということでよかったと思います。この本では抱擁が解説にもある通りに「ねじの回転」を感じさせるところがあり私の好みの作品でした。昭和の2.26事件の頃の話で前田侯爵邸での出来事ということで雰囲気も話に合うものでした。後半の短編集はどうも私の苦手な男女の関係みたいのが多く、ダメでした。辻原さんの作品は初期・中期のころの方が好みで、最近はご無沙汰していました。また「発熱」を再読しようかと思っています。

2022/11/02

yukaring

昭和12年、東京・駒場の前田侯爵邸で起こる奇妙な出来事を18才の小間使いである「わたし」の目を通して描くゴシックミステリ。この物語はヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』のパスティーシュということで、子供を取り巻く不気味で儚い空気感は似ているが、こちらはリアルな時代背景を物語に折り込み『ねじの回転』とはまた違った独特なしっとりとした世界観を醸し出している。外国人家庭教師の言う「ポゼッション(キツネ憑き)」という表現にもゾッとさせられるが、最後のセリフの破壊力が凄く妖しい余韻を残すラストもとても印象的だった。

2023/11/13

りつこ

「抱擁」は以前読んだことがあったのだが、再読してまた印象が変わったような。解説を読んでなるほど「ねじの回転」か!と。あれも読むたびに印象が変わる作品なのだよなぁ。どの作品も息苦しくなるような濃密な空気というか湿度があって、逃れられないような気持ちにさせられる。追いかけられる夢を見ていて「ああ、もうだめだ」と観念して力が抜けるような感じ。「この世でいちばん冴えたやりかた」は谷崎作品を思い出させる空気感。盲目の落語家や文盲の女、刺青師、邪悪な男。面白かった。

2019/01/15

メタボン

☆☆☆☆☆ 洋館に小間使いとしてきたわたしと5歳の緑子との間に潜む影「抱擁」。快楽に誘う不思議な香りに魅かれる女のような名の夫と男のような名の妻「約束よ」。円木のスピンオフ作品「かみにさわった男」「窓ガラスの文字」「かな女への牡丹」(後半二つのヒロインである文盲のかなの人物造形が秀逸。「牡丹」は谷崎の刺青へのオマージュとも言える)。飛行機の車輪にぶら下がるというぶっ飛んだ設定の「青黄の飛翔」。百戯の一夜を境に貞淑な妻から淫乱奔放な女へと変わる「河間女」。現実と夢のあわいの表題作。作者の力量がただならない。

2021/02/28

りんりん

読みにくいかと思うと,そうでもない。段々に読むスピードが上がり,独特の雰囲気にのまれていく。そんな感じの読書でした。

2023/06/15

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