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悲願花 (小学館文庫 し 23-1)

悲願花 (小学館文庫 し 23-1)

悲願花 (小学館文庫 し 23-1)

作家
下村敦史
出版社
小学館
発売日
2021-03-05
ISBN
9784094068962
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悲願花 (小学館文庫 し 23-1) / 感想・レビュー

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machi☺︎︎゛

両親が無理心中を図り生き残った幸子。怒りの相手を両親にして生きてきたが過去から解放されたくて訪れたお墓で、無理心中を図ったのに生き残ってしまったシングルマザーの雪絵に出会う。同じ母親として雪絵の勝手な言い訳に腹がたった。どんな理由があれ子供の将来を決めてしまう権利は無いと思う。幸子には最終的に再生の希望もみえて良かった。

2021/11/24

のり

一家心中の生き残りの二人の女性。しかし立場は真逆。被害者と加害者。この二つの家庭には一体何があったのか…その思いを胸に行き続けるのも、この二人にとってはキツい現実だった。恨みを抱く者、許しを得たい者、そして出会った彼女達。誰にも言えなかった言葉を吐き出しながら、傷つけ慰め合う磁石の二極のようだ。失ったものは大きいが、新たなものを手にする転機になり、前を向ける方に動きだした。きっと大丈夫だ。

2021/10/31

アッシュ姉

加害者と被害者は紙一重。さすが下村さん目から鱗のテーマだった。一家心中で唯一の生き残りの長女、無理心中をはかり子供を死なせて生き残った母親。立場が真逆の二人が出会い、それぞれの過去と対峙していく。心中と殺人では言葉の印象がかなり違うが、無理心中は殺人という考えにも頷けるものがある。重い題材でありながら二時間ドラマを観ているようにすらすらいけたが、下村さんらしい重苦しい読み心地でもよかった。

2021/07/28

イアン

★★★★★★☆☆☆☆被害者と加害者の在り方を問う下村敦史の長編。17年前、両親が起こした無理心中でただ一人生き残った幸子は、同じく無理心中の加害者として生き残った雪絵と出会ったことである〝復讐心〟を抱くが…。なぜ両親は無理心中という最終手段を選ばねばならなかったのか。獄中で雪絵が元夫と交わした手紙の真相とは。オセロで黒が白に代わっていくような(白が黒になるのではなく)どんでん返しが随所に見られ、後読感は意外と悪くない。傍点と「!」を使い過ぎな点は気になるものの、プロローグで惹き込む引力は相当なものでした。

2021/04/21

えみ

この理不尽にどう抗っていくことが“正しい”のか。読み終わった今でも分からない。あまりに想像できる心情、だけど所詮当事者でなければ同情の域から出られないのだから全く理解できていないとも言える。過去に縛られて不幸に身を沈めることは健全じゃない…ではどうすればよいのか?両親により一家心中を図られ、自分だけが生き残った幸子。苦しみを隠し微笑みを浮かべ囚われた地獄の中で平静を装い生きてきた。それが崩れる日、母の亡霊と対面した日…。被害者と加害者の感情の揺れが読者の心をも震えさせる。心中は殺人だ、決して美談ではない。

2022/02/26

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