羊の国の「イリヤ」 (小学館文庫)
羊の国の「イリヤ」 (小学館文庫) / 感想・レビュー
Katsuto Yoshinaga
左遷に冤罪、解雇に離婚と一家離散、消し屋に特殊清掃、半グレに広域暴力団と、現代格差社会のネガティブワード塗れの一作。序盤から「うわぁ、そんなんあかんやん」と心でつぶやきっ放しで、事象の説明でえげつないところはあるが、グロい描写やエロい描写は少なく、終盤はけっこうなカタルシスを感じさせてくれる。徹夜本という帯の惹句は誇大ではなく、娯楽小説として強調されているが、解説氏が書いているように教養小説の面白さも充分で、ノワールとしての出来もイイ。「50過ぎのおっさんの覚醒」という要素に違和感を抱かない方はぜひ。
2022/05/15
NAOAMI
主人公の入矢は内部告発への関与を疑われ子会社の食品工場へ。パワハラ・セクハラ・苛烈な労働環境に異を唱えると元同僚らに嵌められ児童ポルノ嫌疑で留置場。家族にもアッサリ切り捨てられ散々な前半。こっちも泣きたくなる、同世代だけに。その後は、殺し屋四科田に出会い余名宣告、死体処理含む「特殊清掃」に明け暮れ、これでもかと裏稼業に没入。娘を囲ったヤクザもの相手の死闘は絶体絶命の繰り返し。神出鬼没の四科田に救われながらラストステージは曰く付きの食品化工場。出来すぎながらもケリをつける巧さと四科田語る哲学にも惚れる一冊。
2023/04/05
じゃに
読み応えありました!もしわが身に同じ事が起こったら・・・イリヤさん素敵でした。
2022/09/18
tnyak
読み応えがある小説だった。入谷、カッコよかった。
2023/01/27
r100rider
☆7 初めての作家さん。ここ最近はちょっと硬い内容の小説が続いたので、頭休めに選びました。 正解! スカッと気持ち良く読み進められた爽快娯楽小説でした。 主人公の「入谷悟」が上場企業の社員からからズルズルとグレーから真っ黒な世界へ入って行き、その環境は一変し、その中でも屍体(自殺者や事故者)の処理をする仕事をする場面はかなり具体的で夢にまで出て来たのにはビックリ! そんな中でも、自分を貶めた社会に復讐する男に変貌する姿はある意味カッコ良かった(法を犯す犯罪人だけど)。
2022/05/26
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