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さくら (小学館文庫)

さくら (小学館文庫)

さくら (小学館文庫)

作家
西加奈子
出版社
小学館
発売日
2007-12-04
ISBN
9784094082272
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「さくら (小学館文庫)」のおすすめレビュー

西加奈子の出世作『さくら』――兄の事故、家庭崩壊…神様からの「打てないボール」に苦しめられた家族の、再生の奇跡

『さくら』(西加奈子/小学館)

 西加奈子さんを一躍有名にした出世作『さくら』(西加奈子/小学館)。壊れた家族と愛犬「サクラ」の物語は、今もなお、読み継がれている感動のロングセラーである。

 大学生の「僕」は、とある手紙を見ている。「年末、家に帰ります。おとうさん」。この文章に、「僕」はとてつもなく驚く。父親は、数年もの間、音信不通になっていたからだ。その父親が帰ってくる。……進学と共に一人暮らしをしていた「僕」は、実家に戻った。 それは、「最愛の兄の死」をきっかけに、壊れ、止まっていた家族の時間が再び動き出す、始まりの一歩だった。そのきっかけとなったのは、年老いた愛犬「サクラ」である。

 関西のとある新興住宅で暮らしていた「僕」は、兄と妹、そして両親の5人暮らしだった。母親はちょっとおしゃべりで明るい美人。父親は物静かで温厚で、優しい。2人は心の底から愛し合う素晴らしい夫婦。

 兄の一(はじめ)は優しくハンサムで背も高く、いつでもクラスの人気者。妹のミキは愛らしい顔とは裏腹に、クールで一匹オオカミタイプ。それでも、どこか人の心の機微に聡いところがあっ…

2017/10/9

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「なんて雰囲気のある3人」 西加奈子の小説『さくら』が北村匠海&小松菜奈&吉沢亮の出演で映画化!

『さくら』(西加奈子/小学館)

 西加奈子の小説『さくら』が、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮の出演で映画化されることが決定。3人が兄弟役を演じるとあって、「なんて雰囲気のある3人なんだろう」「大好きな物語がステキなキャストで映画になるなんて嬉しい!」と注目を集めている。

 同作は、西が2005年に発表した小説。ある家庭に生まれた長男・次男・長女の3兄弟と、“さくら”と名付けられた1匹の犬が織りなす物語だ。長男の一は家族の中でもヒーローのような存在だったが、ある事故をきっかけに死亡。それ以来、長女のミキは引きこもりがちになり、母も暴飲暴食に明け暮れる。次男の薫は実家を離れ、東京の大学へ。3兄弟と共に生きてきた老犬のさくらは、変わってしまった家族に寄り添い続ける――。

 兄弟と犬が繰り広げる家族の物語は、「すこし変わっているけど、間違いなく家族愛のお話」「自分も犬を飼っているからさくらが愛しく思えた」「読み終わった後に自分の家族を想って泣いてしまう」と感動の声が続出。単行本は26万部超えのベストセラーを記録し、2007年には文庫版も発売された。

 映画では一…

2019/4/13

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さくら (小学館文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

本書は西加奈子さんの第2作目にあたるらしい。文体は、まだ多分にアマチュアっぽいところがあるのだが、おそらくはそれをカヴァーするためもあって、22歳の「僕」の一人称語りになっている。万事に華やかなお兄ちゃんと、超絶美人の妹にはさまれた地味で目立たない「僕」の設定はなかなかに巧みだ。当時、西加奈子さんは弱冠28歳だったのだが、男性の生理をよくわかっていることにも驚く。また、「いつか、いつか、お父さんとお母さんに、嘘をつくときがくる」というサキコさんのセリフも、唸るくらい見事に的を射ているのである。

2019/01/13

風眠

ひとつの物語にいろいろな要素を詰め込みすぎていて、浅く広くという印象なのが残念。事故、死、愛、嘘、広汎性発達障害、摂食障害、アルコール依存、性、暴力・・・どれかひとつを柱として描き、物語に深みをもたせてもよかったのかもしれないな、と思った。弱者を安易に扱うかんじも、私は好きじゃない。救いは、家族が当たり前のように幸せだった頃のことが長く丁寧に書かれていたこと。ふんわりと温かい。そして兄の死後、妹の美貴がずっとため込んでいた感情を爆発させるシーンへと続くクライマックスに胸がつまる。幸せの描写が心に響く物語。

2012/12/11

ちょこまーぶる

まずは全くの勘違いをしていた。「さくら」という本題から勝手に桜だと思っていて、春になったら読むためにずっと積読本にしてしまっていた。背表紙に老犬の名前である事が書かれていた。家族の明と暗を描いた作品であるが、暗があるから家族は明になる事が出来るし、そしてお互いに認め合いながら前に進んで行くことの大切さを改めて教えさせられる思いがした作品でした。それにしても、文章が素晴らしくて、柔らかく、そして比喩表現の情景が眼前に浮かび上がるような文章でした。で、もっとも好きな文章は老犬サクラのしゃべり文に癒されました。

2014/03/25

にいにい

久しぶりの西加奈子さん。凄い!こういう話好きだなぁ~。西さんの作品は、読了のたびにじぃ~んとくる。愛情あり、輝いていた家族が、崩れる様は辛い。しかし、さくらとともに進む強さを回復する過程は、読み応えある。ミキからの答えにくい質問に大らかに答える母、卒業式での薫さんの告白、ミキの好きな人への言葉が素敵だ。西さんの繊細な比喩表現はセンスが良く、気持ちがわかりやすい。大切な人に伝えたいという思いと繋ぐ言葉が印象に残る。涙さそうほっこりの一冊。「生まれてきてくれてありがとう。」

2015/01/12

鉄之助

妙に心に響く、フレーズがたまらない。「この世にあるものは、全部誰かのもので、全部誰かのものでもない」。キリン公園で出会ったおじいさんの言葉だ。目が見えなくて、「星の形は見えんでも、光は感じることができる」と言う。「わしのこの目ぇはな、わしのもんやけど、わしのもんや無い。神様に返すんや」とも。この物語を読むと、つくづく「永遠なんてものは無い」と感じた。しかし、家族の愛は、確かにそこに在った。

2018/11/18

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